1999 Fiscal Year Annual Research Report
β-FeSi_2/Fe人工格子におけるスピン依存散乱を起源とする光誘起電気抵抗変化
Project/Area Number |
11650018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉武 剛 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (40284541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永山 邦仁 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20040446)
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Keywords | Fe / Silicide / 人工格子 / Ablation / 積層膜 / スピン依存散乱 / 強磁性交換結合 / 半導体 |
Research Abstract |
強磁性金属/半導体人工格子では、強磁性金属/非磁性金属人工格子の巨大磁気抵抗効果の主な原因と考えられている磁化の平行・反平行状態をレーザー光などの熱源を用いてスイッチングできる可能性がある。すなわち、半導体は金属に比べてキャリアー濃度の制御が容易であり、例えば人工格子中の半導体を光あるいは熱的に励起した場合、キャリアーを介して人工格子の磁性に変化が生じることが期待される。我々は、(半導体)/(強磁性金属)人工格子膜の半導体層としてβ-FeSi_2を採用した。半導体層がβ-FeSi_2の場合では、(1)β-FeSi_2はFeを含むためSiに比べ電気伝導率が高い。したがってより大きな伝導電子のスピン依存散乱の効果を期待できる。(2)Siが間接遷移型半導体であるのに対してβ-FeSi_2は直接遷移型半導体であるため、より高い光照射の効果を期待できる。(3)β-FeSi_2は太陽電池材料として期待されているように光吸収係数がSiに比べて極めて高くより高い光照射の効果を期待できる。(4)β-FeSi_2に含まれるFe原子によって磁性層間に交換結合が誘起されやすい。などSiなどの半導体に比べて人工格子材料として適している。 人工格子膜の作製では、層間の原子の拡散を防ぐ必要があるため、各層を低温成長する必要がある。しかし、β-FeSi_2は低温での成長が困難であることがしられている。そこでまず最初に、我々は高エネルギー粒子付着であるレーザーアブレーション法とRFマグネトロンスパッタリング法を用いてβ-FeSi_2の低温成長を試みた。その結果、格子はかなりひずんでいるものの、両方法ともに、室温基板にてβ-FeSi_2の室温成長に成功した。今後は、いよいよβ-FeSi_2/Fe積層膜を作製して、その構造評価、および電気特性、磁気特性を詳しく調べる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] G.Shiraishi, T.Yoshitake, T.Nagamoto and K.Nagayama: "STRUCTURAL CHARACTERIZATION OF BETA-FESI2 THIN FILMS PREPAERED BY PULSED LASER DEPOSITION USING AN IRON SILICIDE ALLOY TARGET"Proceeding of Cross Straits Symposium on Materials, Energy and Environment Sciences. 103-104 (1999)
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[Publications] T.Hanada, T.Yoshitake and K.Nagayama: "LOW TEMPERATURE GROWTH OF BETA-FESI2 THIN FILMS ON SI(111) BY RF MAGNETRON SPUTTRING USING AN IRON SILICIDE ALLOY TARGET"Proceeding of Cross Straits Symposium on Materials, Energy and Environment Sciences. 111-112 (1999)
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[Publications] 吉武 剛、永元達也、白石豪介、永山邦仁: "レーザーアブレーション法による環境考慮型半導体β-FeSi_2薄膜の作成とその微細構造"九州大学総合理工学研究科報告. 21,3. 247-256 (1999)
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[Publications] 吉武 剛、永元達也、白石豪介、永山邦仁: "レーザーアブレーション法によるFeSi_2合金ターゲットを用いたbeta-FeSi_2薄膜の作製とその構造評価"レーザー研究. 28,2. 103-107 (2000)
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[Publications] T.Yoshitake, T.Hanada and K.Nagayama: "Low Temperature Growth of beta-FeSi_2 Films on Si(111) by RF Magnetron Sputtering using a FeSi2 Alloy Target"Journal of Material Science Letters. (in press).