1999 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質多量体分子がタンパク質結晶の成長ならびに品質に及ぼす影響
Project/Area Number |
11650023
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中田 俊隆 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20237308)
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Keywords | タンパク質 / リゾチーム / 結晶 / 不純物 / 成長ステップ / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、原子間力顕微鏡(AFM)による、(1)多量体不純物の結晶表面への吸着、脱離過程の分子スケール観察、および、(2)結晶表面における成長ステップの移動速度(成長速度)の測定を中心として研究をおこなった。特に、従来中心に研究が行われていたリゾチームのTetragonal結晶に加え、25℃以上で安定とされるOrthorhombic結晶についてもAFM観察を行い、いくつかの新たな知見を得た。以下、その概略について記す。 (1) 共有結合多量体の吸着課程の観察 Orthorhombic結晶についても、分子レベルでの高分解能AFM観察を行い、Tetragonal結晶同様に、多量体不純物の吸着を確認することに成功した。Orthorhombic結晶は主に(110)、(010)、(011)面という三種類というfacet面をもっているが、その中でも(110)面には不純物多量体が吸着しにくく、(010)面には吸着しやすいことが新たに確認された。また、不純物はステップ近傍ではなく、表面にほぼ均一に吸着していることが明らかとなった。これは多量体不純物が特別な構造をとっており、特定の種類のマクロボンド(数多くの水素結合をつくる接触部位)にのみ優先的に吸着することを示唆している(投稿準備中)。 (2) 成長ステップの観察 Orthorhombic結晶の(110)(010)面について、らせん転位由来によるスパイラル成長、および二次元核形成による成長をそれぞれ確認し、そのステップの高さ及び移動速度を測定した。現段階では過飽和度の調整が十分ではないため、定量的な議論は困難であるが、不純物の効果によりステップ移動の異方性が強調されている可能性がある。
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