1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北野 正雄 京都大学, 工学研究科, 教授 (70115830)
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Keywords | 量子Zeno効果 / 量子制御 / 光ポンピング |
Research Abstract |
本研究の目的は,量子系の制御のための新たな手段として量子Zeno効果を用いることを提案し,その有効性を実証してゆくことである.量子Zeno効果を利用すると,観測や緩和といった非ユニタリー過程によって量子系の運動を制御することができる.過程の非ユニタリー性にも拘らず確率密度は保存される.コヒーレンスの消去あるいは破壊が本質的な役割を果たしているのであるが,このようなインコヒーレント過程によってユニタリー過程と同様の確率を保存する運動を実現しうることがとくに興味深い点である. 今年度はおもに量子Zeno効果による原子スピンの制御について研究を行なった.円偏光を原子に照射すると,光ポンピングによりスピン偏極が生じることはよく知られている.ここに弱い横磁場を印加してスピンを歳差運動させようとしても,再び光ポンピングされて,歳差運動は抑制される.この過程において,光は当然吸収されると思われてきたが,われわれは,光の強度を増して行くと,吸収の絶対量が漸近的に減少することを見出した.この「光吸収を伴わない光ポンピング」は量子Zeno効果の例になっているのであるが,これを用いたスピン制御の可能性を検討した.実験は,Rb原子に円偏光と静磁場を加える典型的な光ポンピングの系において,透過光強度をモニターした.円偏光の強度を増していったとき,絶対吸収量が漸近的に減少することが確認できた.
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Research Products
(2 results)