1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650054
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
八代 健一郎 千葉大学, 工学部, 教授 (00125965)
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Keywords | 静磁波ソリトン / 多ソリトン / パルス圧縮 / パルス波形整形 / 逆散乱問題 / 散乱行列 / 超短パルス / 不均一線路 |
Research Abstract |
高品質なイットリウム・鉄・ガーネット(YIG)の膜でも静磁波包絡線ソリトンの伝搬を考えると,その損失は無視できない。非線形シュレーディンガー方程式から決まる1-ソリトン解に必要な入力パルスのエネルギーよりも大きな静磁波のパワーにすると、静磁波ソリトンのふるまいが観測される。この静磁波パルスの伝搬速度を詳しく調べると、入力パワーのエネルギーを増加するにつれて速度が速くなっていることがわかった。非線形シュレーディンガー方程式モデルでは伝搬速度は一定になり、静磁波パルスのエネルギーに依存しない。このことは非線形シュレーディンガー方程式を導くときに無視していた高次の効果の現れと考えられる。高次の効果を考慮した非線形シュレーディンガー方程式モデルを用いると、実際、静磁波パルスのエネルギーを増加すると、その速度が速くなる結果が理論的にも導かれることがわかった。 高次の効果のうち、3次の分散項は多ソリトン状態の静磁波パルスをそのパルスを構成する個々のソリトンパルスに分離する効果がある。また、高次項のひとつである自己急峻項はパルスの先端を切り立たせる効果がある。非線形シュレーディンガー方程式モデルの場合と同様に高次項を考慮した非線形シュレーディンガー方程式モデルの場合でも入力パルスの波形によって限られた伝搬距離内で、パルス圧縮の状況がことなることがわかった。 このことを実験的に確かめるためには、30ナノ秒程度のパルス長のマイクロ波パルスの包絡線の形を変える必要がある。そこで不均一伝送線路を用いた波形整形フィルターの設計方法を検討した。伝送線路の特性を電信方程式で記述する。電信方程式は線路の前方へ進む電力波と後方へ進む電力波の結合した1階の微分方程式に帰着できる。この方程式を積分形に直して透過波を与えることにより逐次前方へ進む波と後方へ進む波を数値的に解く方法を考案した。この方法により反射係数及び透過係数の周波数特性を調べることができる。また、逆に反射特性と透過特性から線路の局所特性インピーダンスを求める方法を提案した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K. Yashiro, S. Ohkawa, C.E.Zaspel: "Power dependent velocities of microwave envelope solitons"IEEE Transactions on Magnetics. 35・5. 3169-3171 (1999)
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[Publications] K. Yashiro, S. Ohkawa: "High degree of multisoliton pulse compression in a YIG film"IEEE Transactions on Magnetics. 35・5. 3175-3177 (1999)