1999 Fiscal Year Annual Research Report
高分子粉体帯電特性の熱誘起電流スペクトル法による評価
Project/Area Number |
11650058
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池崎 和男 慶應義塾大学, 理工学部・物理情報工学科, 教授 (50051462)
|
Keywords | 静電粉体塗装 / 粉体塗装 / 熱誘起電流 / 表面電位減衰 / 硬化 / 架橋反応 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
実用の静電粉体塗装用塗料を,通常の保管環境で起こりうる温度領域で種々の時間熱処理して,それらの電荷保持力を等温表面電位減衰法で調べた.40℃で熱処理した試料では,表面電位減衰は,従来より知られている表面電位-時間特性を示したが,50℃で30分間熱処理した試料では,特異な電荷減衰特性を示した.この電荷減衰特性の保管温度依存性をさらに詳しく調べるため,TSCスペクトルを測定したところ,50℃10分問の熱処理でも,粉体塗料の電荷保持力は著しく低下することが判明した. また,塗着粉体の架橋反応による硬化過程の進行状況を知るために,種々の温度で,種々の時間熱処理した塗膜のTSCスペクトルを測定した.TSCスペクトル主バンドのピーク温度は,硬化の温度及び時間に著しく異存した.観測されたピーク温度のシフト量は,一種類の時定数で記述できるものと,2種類の時定数で表されるものがあった.これらTSC主バンドのピーク温度シフト量の解析から,塗膜の硬化をもたらす,塗料ベース樹脂の架橋反応の活性化エネルギーが求められた.2種類の時定数で特徴づけられた硬化の進行の場合は,架橋反応の進行が二通りで起こっていることに対応する. このように,TSCスペクトロスコピーは静電粉体塗装用塗料の電荷保持力や複雑な硬化の進行を調べるうえで有効であることが判明した.
|