2000 Fiscal Year Annual Research Report
高分子粉体帯電特性の熱誘起電流スペクトル法による評価
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11650058
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池崎 和男 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50051462)
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Keywords | 熱刺激電流 / 高分子粉体 / 電荷制御剤 / トナー |
Research Abstract |
(1)昇温に伴う試料粉体層厚の変化の熱刺激電流(TSC)スペクトルへの影響をどのようにして取り除けるか検討した。そのために、厚さ1mm程度の、種々の高分子粉体層を一定速度で昇温して、層厚変化を3μmの分解能で計測可能な測定器を作り、試料粉体層の厚さを温度の関数として測定した。この測定結果を用いて、観測されたTSCスペクトルから正しいTSCスペクトルを復元するアルゴリズムを考案した。また、これにより実際の粉体試料に対して、コンピュータにより正しいTSCスペクトルを復元できた。この成果と、これまでの研究で得られた成果により、高分子粉体試料のTSCスペクトル測定法がほぼ確立された。今後、この測定法を複写機用トナーの帯電特性など、高分子粉体試料の各種物性研究に利用するとともに、より簡便な装置の開発を進める。 (2)高分子粉体層を強く圧縮すると、粉体粒子界面は部分的に一体化して、その部分の界面が消失する。この粉体粒子間界面の変化をTSCスペクトル変化から知ることが出来た。粒子間界面の一体化は粉体層の力学的強度増加につながるはずである。そこで、粉体圧縮層の剪断強度を概略値を測定したところ、その結果から推定された結論はTSCから得られたものとよい一致を示した。高分子粉体圧縮層のより精密な剪断強度測定を行うため測定器を設計し、その製作を外部に依頼する予定であったが、経費の関係で自作することにし、現在製作中である。 (3)複写機用トナーに添加する電荷制御剤(CCA)の機能発現のメカニズムを理解する手始めとして、第四級アンモニウム塩タイプのCCAに対して、TSC測定を行ったところ、CCAからのTSCバンドが、室温以上の温度領域で、観測できた。このことから、CCAが電荷をトラップすることを初めて実証することが出来た。また、このCCAは162℃で結晶転移をし、導電性が激変することをみいだした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Makoto Ikegami: "Effects of heat treatment on the charging characteristics of a quaternary ammonium charge control additive"Journal of Electrostatics. (2001)
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[Publications] Toshio Ogiwara: "Thermally stimulated currents in cured resins of electrostatic powder coating"Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation. (2001)