1999 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーアブレーション法で生成されたプラズマの時間空間分析分光による診断
Project/Area Number |
11650063
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松尾 由賀利 理化学研究所, RIビーム科学研究室, 先任研究員 (50231593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 徹 理化学研究所, 分子物性化学研究室, 先任研究員 (70202067)
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Keywords | レーザーアブレーション / レーザー生成プラズマ / レーザー誘起蛍光 / 高分解能分光 |
Research Abstract |
本研究の目的は、金属、半導体、セラミクス等をレーザーアブレーションすることにより生成したプラズマ中の原子・分子イオンを、発光、レーザー誘起蛍光法(laser-induced-fluorescence(LIF))、縮退4光波混合法(degenerated-four-wave-mixing(DFWM))の3種の光学的手法を組み合わせて、検出、診断することである。プラズマ中の原子分子を内部状態まで特定して調べるごとができるのが特徴である。 本年度は(1)Heガス中でのアルカリ土類原子のイオンを発生させ、LIF法で内部状態の変化を時間的に追跡する、(2)LIF法およびDFWM法のための高分解能パルス光源の整備、の2点を主に行った。 (1)Ca^+,Sr^+のアルカリ土類イオンをHeガス中でデブレーション法により生成し、波長可変パルスレーザーを用いて、特定の準位(この場合は^2P_<3/2>状態)にラベルする。ラベルされた準位からの直接発光(LIF)と、Heとの衝突によりラベルされた準位から移っていった先の準位(この場合は^2P_<1/2>状態)からの発光(sensitized fluorescence)とを同時にモニターし、これらのイオンの内部状態の時間的変化を追跡した。この結果、アルカリ土類イオンのP励起状態における微細構造間のエネルギー間隔が小さいほど、2つの準位間の遷移確率が大きいことが明らかとなった。 (2)LIF法およびDFWM法を用いて、原子分子イオンの詳細な内部状態と並進状態に関する情報を得るには、レーザーの線幅が0.0001nm以下でなくてはならない。レかし、DFWM法のように非線型効果を利用するものは、瞬間的に強いレーザーパワーを与えるパルスレーザーを用いて観測を行う必要がある。そこで、紫外域に多く存在する分子イオンの遷移を観測するために、可視および近赤外域狭帯域cwレーザーの2倍波をパルスレーザーで増幅し、狭帯域と高出力の2つの条件を同時に満たす光源の整備を行った。
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[Publications] Y.Matsuo,T.Nakajima,T.Kobayashi,M.Takami: "Radiative lifetimes and collisional deactivation cross sections of the 5d6p states of laser-ablated Ba in He gas"Phys.Rev.A. 59・3. 2071-2077 (1999)