1999 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム系マイクロメカニクスの構築とその微小き裂問題への応用
Project/Area Number |
11650090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星出 敏彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (80135623)
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Keywords | ランダム系 / マイクロメカニクス / 微小き裂 / 微視組織 / 結晶粒径 / 結晶方位 / 欠陥寸法 / 多結晶材料 |
Research Abstract |
本年度は,線形弾性変形をするとみなせるセラミック材料を対象に研究を行い,以下の成果を得た. 1.強度設計上問題となる強度の欠陥寸法に対する依存性について,微視構造の影響を考慮し,結晶平均化応力とR曲線に基づいたモデルを考え,連続体におけるき裂解析に適用される応力拡大係数について再考した.まず,欠陥寸法が微視構造のオーダーであるとき,き裂が微視構造レベルよりも十分大きいことを前提とした応力拡大係数に基づいた通常の破壊クライテリオンを適用できないことから,結晶レベルでの応力を考えることにより,修正破壊クライテリオンを提案した.さらに,結晶粒架橋効果によって,き裂進展抵抗が変化することを考慮したR曲線モデルについて考察した.R曲線モデルとして既存のMai-Lawnのモデルを用いた場合,特異な特性が現れることから,これに代わる指数型のR曲線モデルを新たに提案し,このモデルを用いた解析を行った.この解析により,実験的に観察されている強度の欠陥寸法依存性における平均的な傾向を説明することに成功した. 2.欠陥近傍の結晶粒径のばらつきおよび結晶方位の変化に伴う変形異方性の二因子に着目することによって,実験結果に認められた大きなばらつきに対する説明を試みた.結晶粒径のばらつきについては,ワイブル分布を用いて表し,解析を行った.これによって,き裂が短い場合にはき裂先端の結晶粒径の変化による影響を強く受けて強度のばらつきが大きくなるが,き裂が長くなるにつれてそのような影響は低減し,それに伴う強度のばらつきも減少することを明らかにした.また,結晶方位による変形異方性を考慮した解析においては,結晶粒径分布による影響ほど大きなばらつきが現れず,そのばらつきの変動幅にも欠陥寸法による変化はほとんど認められなかった.今後は,さらに粒径と結晶方位の両者を同時に考慮した解析を行う計画である.
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Research Products
(1 results)