2001 Fiscal Year Annual Research Report
接着剤層中のモードI,IIおよび混合モード下における疲労き裂と2次進展に関する研究
Project/Area Number |
11650105
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤井 透 同志社大学, 工学部, 教授 (20156821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大窪 和也 同志社大学, 工学部, 助教授 (60319465)
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Keywords | 接着剤 / 接着継手 / モードI / モードII / 混合モード / き裂進展 / 2次進展 / pseudo-threshold |
Research Abstract |
接着剤層中の疲労き裂進展に関する研究の最終年度として,モードI荷重下で,き裂の進展形態が凝集から界面へと変化する「き裂進展モード変化」に値点を当てて,研究を進めた.その結果,疲労試験では,き裂が、一旦停留した後,き裂の2次進展が生じることを世界で初めて発見した.一端き裂が停留した時点を「pseudo-threshold(PT)」と名付けた.エネルギー解放率範囲ΔG_Iの大きいところでは凝集破壊,同解放率の小さいところでは界面破壊となる.途中,混合破壊形態が出現する.き裂の2次進展挙動を確かめるため,絶乾状態での疲労試験を行う必要がある.そこで,100%ピュアーな窒素ガス環境下で疲労試験を行い,この2次進展の発生原因として接着側面端部からの水(水蒸気)の進入が強く影響することを明らかにした.すなわち,絶乾状態ではPT以降,き裂の進展はなく,PTが疲労限となる. 破壊形態の変化に及ぼす湿度の影響は、高ΔG_I領域で顕著であり,大気中の本分は高ΔG_I領域での界面破壊の割合を増加させ,低ΔG_I領域では界面破壊率に及ぼす試験湿度の影響は小さくなり,ΔG_I値の影響が見られる.また,ΔG_I一定条件の疲労試験を行い,破壊形態の変化には大気中の水分及びΔG_Iの変化がそれぞれ影響を及ぼしている.これにより,高ΔG_I領域では,大気中の水分は試験片端部に界面破壊を引き起こす要因となり得るが,その後の界面破壊の進展はΔG_I値の変化に依存する.逆に低ΔG_I領域ではΔG_Iが破壊形態を変化させる支配的因子として作用するが,大気中の水分によって界面破壊の割合は増加することを示した.最後に,ΔG_Iの変化に伴い破壊形態が変化するメカニズムを明らかにするため,荷重点引張速度を変えて破壊じん性試験を行なったところ,引張速度が速い場合には凝集破壊,遅い場合には界面破壊が支配的となることを見出した.FEM解析によりエネルギ解放率G_Iとき裂先端開口変位CTODを関連付けることができ,ΔG_Iの変化に伴う破壊形態の変化が,き裂先端の開口速度の影響,つまり接着剤の速度依存性に起因していることも明らかにした.
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[Publications] 藤井徹, 平方寛之: "エポキシ系接着剤の疲労き裂進展中における破壊形態の変化と二次き裂進展"日本機械学会論文集(A編). 67巻662号. 1647-1653 (2001)
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[Publications] Toru Fujii, Kazuya Okubo, S.Kato: "Crack Deflection and Ratis for adheswely bonded structwres"Proc of 7th Int. Conf. on Adhesion and Surface Analysis. (印刷中). (2002)
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[Publications] 大窪和也, 吉光貴晃, 藤井透: "混合モード荷重下に於る高じん性化エポキシ接着剤の静的および疲労き裂進展特性"日本機械学会論文集(A編). 67巻661号. 1514-1519 (2001)