2000 Fiscal Year Annual Research Report
高強度鋼のギガサイクル確率疲労特性の解明と信頼性保証技術の確立
Project/Area Number |
11650106
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
酒井 達雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (00066739)
|
Keywords | 高強度鋼 / 信頼性解析 / 確率疲労特性 / 長寿命疲労特性 / 混合ワイブル分布 / 二重S-N特性 / 疲労限度 / フィッシュアイ |
Research Abstract |
近年、各種機器・機械構造物の余寿命評価や信頼性確保に対する社会的要請が一段と高まるとともに、経済的理由からこれらの実機に対する寿命延伸技術の確立が強く望まれている。これは設計時の耐用年数を越えて機器・構造物を長期間使用することにつながるもので、部材の長寿命域における疲労特性が重要な課題となる。 この観点から、高炭素クロム軸受鋼、クロムモリブデン鋼およびニッケルクロムモリブデン鋼等の高強度鋼に対する長寿命疲労特性を明かにするのが本研究の主たる目的である。とくに昨年度にひき続き本年度得られた成果を要約すれば以下のとおりである。 1、独自の疲労試験機を開発し、各種高強度鋼についてN=2x10^9の長寿命域まで疲労試験を行った結果、疲労破壊は表面起点型破断と内部起点型破断に明確に区別され、内部起点型破断の際はいずれも明瞭なフィッシュアイが観察された。また、各破断形態ごとに固有のS-N曲線があって、両者がS-N座標上で別の位置にずれて現れる特徴があり、この特異な疲労特性を二重S-N特性として解釈すべきことを明かにした。 2、表面起点型破断および内部起点型破断の各寿命成分から構成される混合分布を基礎とし、各分布母数の応力依存性と生起確率の応力依存性を組合せ、広範な寿命域における高強度鋼の複雑な寿命分布特性がよく説明できることがわかった。 3、軸受鋼の長寿命疲労特性について、き裂発生寿命・FGA形成寿命・フィッシュアイ形成寿命を分離して、各寿命成分の比率を詳細に分析した結果、内部起点型の破断寿命の大部分がFGA形成過程で占められることが明らかになった。また、本材料の疲労寿命延伸のためには介在物寸法低減と母材の靭性値向上が有効であることがわかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 酒井達雄: "高炭素クロム軸受鋼の広寿命域にわたる回転曲げ確率疲労特性について"第17回材料・構造信頼性シンポジウム講演論文集. 21-26 (1999)
-
[Publications] 酒井達雄: "高炭素クロム軸受鋼の広寿命域における特徴的回転曲げ疲労特性に関する実験的検証"材料. 49. 779-785 (2000)
-
[Publications] 小熊規泰: "軸受鋼の回転曲げ疲労試験における内部起点型破断に対する疲労寿命予測"材料. 50(掲載決定). (2001)