Research Abstract |
本研究では,方向をそろえたSiC(炭化けい素)ウイスカー砥石の開発を行うとともに,この砥石の性能評価を行った.その結果,仕上げ面粗さ16nmRy,研磨比(研磨量/砥石摩耗量)2000という値が得られた.また加工変質層も小さいことがわかった. 本研究では,このウイスカー砥石の特徴を生かして,円筒内面加工用のホーニングに応用した.実験装置には,CNCフライス盤を用い,加工材としてSKD11(HRC60)を使用した. 今回の実験では,加工液の種類,加工圧力,加工速度,交差角(周速度と軸方向速度とにより生ずる角度)を変化した場合の最終仕上げ面粗さ,加工時間と仕上げ面粗さとの関係(加工能率)について調べた.その結果,次のようなことが解った. 加工液については,ウイスカーが非常に微細(直径約1μm,長さ40〜50μm)であるため,ホーニング用液では粘度が高く目づまりし易いため,水溶性研削液の方が適していることが解った. 加工圧力の変化による影響は,0,2〜0.5Mpaの範囲では,顕著な差はみられなかった.もっと大きな圧力での実験ができるよう改良する必要があると考える. 周速度(v)に関して,交差角との関連もあるがv=10,20,40m/minの範囲では,仕上げ面粗さについては20m/minの場合やや良い値が得られた.また加工能率では40m/minの場合が良いことが解った. 交差角(θ)の影響について,ホーニング専用機ではないのでθを大きく取ることができないが,θ=10,20,30°の範囲では,θ=30°が良い結果が得られた. 本実験での最終仕上げ面粗さに関して,良い条件の場合5nmRa(40〜50nmRy)程度の面が得られたが,加工圧力が低いこともあり加工時間が30〜40分程度かかることがわかった.そこで砥石の目づまり防止の効果も期待して,砥石に軸方向の振動を与えることによりホーニングの加工性の向上を考えた.その結果,最終仕上げ面粗さについては,振動を与えない場合と同じ程度であったが,加工能率が非常に向上する(加工時間が10分程度になる)ことが解った.今後,振動(振動数,振幅)の効果についても実験し,検討していくことを考えている.
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