1999 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビームミキシング法による窒化炭素膜に発現する超低摩擦現象の解明
Project/Area Number |
11650145
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅原 徳次 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70203586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 東方 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20301038)
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10222621)
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Keywords | 摩擦 / 雰囲気 / 窒化炭素 / イオンビーム |
Research Abstract |
窒化炭素は,β-C_3N_4と結晶化すると,理論的にはダイヤモンドよりも硬いと言われ,将来の耐磨耗膜として期待されている.一方,研究代表者は,イオンビームミキシング法で窒化炭素膜を成膜し,窒化ケイ素ピンとの摩擦特性を測定したところ,低荷重・低すべり速度において,窒素雰囲気中であれば0.009という無潤滑下では考えられないような超低摩擦が得られることを発見し,1998年コーティングの国際会議で発表した. そこで,本年は,イオンビームミキシング法による窒化炭素膜の超低摩擦材としての新機能展開を図るために,初めに,イオンビームミキシング装置により,シリコン基板上にカーボンをイオンビームスパッタリングしながら,窒素イオンビームを照射することで,窒化炭素膜を成膜し,同じチャンバー内にセットしたピンオンディスク型の摩擦装置により,窒化ケイ素ピンとの間の摩擦に及ぼす接触荷重,すべり速度,雰囲気の影響を明らかにした.その後,ESCA及びラマンによる表面分析が行われた. その結果,摩擦係数が窒素分圧とともに減少すること,摩擦により窒化炭素膜の構造が,sp3結合が多い構造から,sp2結合の多い構造に変化し,それに応じて低摩擦となることが明らかにされた.また,摩擦係数に及ぼす接触荷重及びすべり速度の影響としては,高荷重ではすべり速度とともに摩擦係数が減少するのに対し,低荷重では逆にすべり速度とともに摩擦係数は増加した.これらの結果を低摩擦発現領域を設計に用いるためのフリクションマップとしてまとめた.
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