2000 Fiscal Year Annual Research Report
アブレータを用いた耐熱シールドの淀み点下流域に生じる著しい空力加熱現象の解明
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11650162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澤田 恵介 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80226068)
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Keywords | 空力加熱 / アブレ-タ / 乱流遷移 / MUSES-C / 輻射流れ場 / マルチバンドモデル / 密結合計算 / パラレル演算処理 |
Research Abstract |
初年度に開発されたパイオニアビーナス金星探査機大気圏突入時の空力加熱解析コードを高度化して、宇宙科学研究所が計画しているMUSES-C探査機が地球大気圏に突入する時のアブレータ応答を含めた空力加熱現象を解析した。特に本年度は、炭素化合物を含む空気の化学種に対する熱化学非平衡反応パッケージを解析コードに組み込んだ。さらに、流れ場の計算結果からマルチバンド法で輻射熱流束を高精度に求めるパッケージを解析コードに組み込んだ。ただし、流れ場と輻射場は結合されていない。以上の改良を施した解析コードを用いて、宇宙科学研究所で計画されているMUSES-C探査機の突入軌道に沿った空力加熱を算出してアブレータの熱応答を求めたところ、淀み点では既存の推定値に極めて近い履歴を得た。また淀み点下流域ではアブレーション生成ガスによる境界層の乱流遷移が起こり、下流域の壁面加熱率が著しく増大した。このため、下流域の壁面温度は淀み点とほとんど変わらない値まで上昇した。 一方、超軌道速度で突入する場合など輻射加熱が支配的な場合に、正確な壁面加熱率を求めるには、輻射と流体の密結合解析が不可欠である。前年度に簡易輻射モデルを用いて輻射流れ場の収束解を求める計算手法を提案したが、本年度は簡易モデルを詳細なマルチバンドモデルに変更して計算精度を高めた。また、マルチバンドモデルを用いる際に著しく増大する計算負荷を低減して、実用的な計算時間で収束解を得るために、並列計算機上にコードを移植した。ORIGIN2000並列計算機の128CPUを用いて計算したところ、20GFLOPSの実行計算速度を達成した。以上より、輻射が卓越した2次元軸対称密結合流れ場の収束解を容易かつ高精度に求める計算手法が確立された。今後、MUSES-Cの解析コードに輻射流れ場の密結合計算機能を与え、統合アブレータ解析コードとしての実用化を進める。
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[Publications] Takeharu Sakai: "Calculation of Nonequilibrium Radiation from a Blunt Body Shock Layer"Journal of Thermophysics and Heat Transfer,. Vol.15,No.1(to appear). (2001)
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[Publications] Takeharu Sakai: "Computation of Hypersonic Radiating Flowfield over a Blunt Body"Journal of Thermophysics and Heat Transfer,. Vol.15,No.1(to appear). (2001)
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[Publications] Toshiyuki Suzuki: "Unified Calculation of Hypersonic Flowfield for a Reentry Vehicle"AIAA Paper 2001-0980. (2001)
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[Publications] Shingo Matsuyama: "Parallel Computation of Fully-Coupled Hypersonic Radiating Flowfield Using Multi-Band Model"AIAA Paper 2001-0657. (2001)