2000 Fiscal Year Annual Research Report
気泡流中における円柱周り境界層と気泡の干渉による剥離構造の変化
Project/Area Number |
11650165
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
市川 保正 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40134473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 洋一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60111473)
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Keywords | 気泡流 / 外部流れ / 円柱 / 剥離 / ボイド率 / 抗力係数 / 臨界レイノルズ数 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究では気液二相流回流水槽と新たに設計製作した可視化円柱をもちいて,円柱周り気泡流に関する実験を行った.供試円柱はアクリル製の外円筒と鏡を取り付けた真鍮製の内円筒より構成されている.外円筒は,外径30mm,内径24mmの薄肉円筒に0.5φの静圧孔およびインク吐出口を開けてあり,この孔は外径1φ,内径0.5φのステンレスパイプによって円筒外部までつながっている.内円筒は,円柱表面の鏡面の真上の画像を円柱中心軸上におかれた高速度ビデオカメラで望遠接写できるように作られている.また,静圧孔から引き出されたステンレスパイプはビニールチューブを介して圧力センサーに接続されておりこれを回転させることによって.圧力分布を測定した. 圧力分布測定と可視化実験の結果から円柱周り気泡流の特性として以下の知見を得た. 1.気泡流では単相流時に層流剥離を示す低レイノルズ域においても,抗力低減が生ずる.低減量はボイド率の増大に伴って増大する.また,単相流とおなじように抗力の急激な減少を示す臨界レイノルズ数をもつ.ただし,気泡流の臨界レイノルズ数は単相流より小さい. 2.気泡流の臨界レイノルズ数近くとより低いレイノルズ数域では抗力の低減メカニズムが異なる.臨界レイノルズ数近くでは,気泡は乱れを増大させ乱流化を促進して乱流剥離を早める.しかし,より低いレイノルズ数域においては,気泡は層流境界層と相互作用することによって層流剥離点の間欠的な後方移動を促し,抗力の時間平均値を低減をさせる. 3.気泡流臨界レイノルズ数近くの流速では,境界層と相互作用した気泡のほとんどは強い剪断層によって馬蹄形に変形させられた後,微細気泡に分裂し後流に蓄積する.しかし,それ以下の流速においては,気泡の分裂は間欠的であり,主流速度が1m/s以下の剪断層では気泡は分裂せずに後流に蓄積する.このとき,剥離領域内に流れ場が生じ,後方よどみ点に向かって圧力回復する.ただし,圧力回復曲線はボイド率の増大に伴って定常値に漸近する.
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[Publications] Y.Ichikawa,Y.Matsumoto: "Bubble-Boundary Layer interaction in Bubbly Flow around a Circular Cylinder"ASME FEDSM2000 CD-ROM. 11018. 1-7 (2000)
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[Publications] 市川,松本: "気泡流中の円柱周り境界層の微細構造"日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集(CDROM). 719. 1-4 (2000)