2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650192
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
浦田 暎三 神奈川大学, 工学部・機械工学科, 教授 (90016452)
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Keywords | 水圧駆動 / 汚染管理 / マルチパス法 / フィルタ / ベータ値 / ろ過 / 通過率 / 離脱率 |
Research Abstract |
水圧駆動装置内の水を清浄下するフィルタのろ過特性とその評価法について,理論及び実験の両面から研究を行った.油圧フィルタに関してISOマルチパス法(ISO 16889)があるが,水圧に関して適用できる規格はない.ISOなど,これまでのマルチパス試験規格では,フィルタの性能をフィルタ上流粒子数濃度(N_u)と下流粒子数濃度(N_d)の比,β=N_u/N_dで表してきた.これまでのマルチパス法では,フィルタに到着した汚染要因物の1/βが下流に流れ去ると仮定している.しかしこれでは清浄な流体システム中に汚れたフィルタが入ったときの現象が説明できない.そこで本研究ではフィルタ中に滞留していた粒子の離脱率を導入した理論を構築し,実験的検証を行った.理論の要点は次のとおりである. フィルタ性能は,上流から来た粒子の通過率(1/β)と,フィルタに拘束されていた粒子の離脱率により定まる.通過率,離脱率は,ろ材で定まるパラメータと運転条件などで決まるので,実験的にパラメータを同定する.本研究では,次の4つの数学モデルを作り,実験と定性的な対応を確認することができた.(1)下流濃度を,エレメントを素通りした粒子と,エレメントから脱落した粒子で表示するモデル.(2)エレメント目詰まりと,上流から来た粒子が素通りする割合を関係付けるモデル.(3)エレメントに拘束されている粒子が脱落する割合を表すモデル.(4)フィルタの目詰まりとエレメント差圧を関係付けるモデル. 本研究はマルチパス法における技術思想の不備を補う最初の理論である.実験研究は水を対象として行ったが,理論は油圧系に適用されているマルチパス法の規格類すべてに対して適用できる.それゆえ,各種規格におけるフィルタ性能の表示や測定法も本理論に沿う形に改訂されると思われる.
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