1999 Fiscal Year Annual Research Report
遠心羽根車の流路に沿って発達する乱流混合損失メカニズムの解明
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11650197
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Research Institution | Yatsushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
宮本 弘之 八代工業高等専門学校, 機械電気工学科, 助教授 (90124156)
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Keywords | ターボ機械 / 送風機 / 内部流れ / 遠心羽根車 / 乱流 / 二次流れ / すきま漏れ / 熱線計測 |
Research Abstract |
本研究では、遠心羽根車の流路に沿って発達する乱流混合損失メカニズムの解明を目的として、小型熱線風速計を遠心羽根車の中空軸内に取り付けて羽根車とともに回転させる方法を用いて、羽根車通路の流入部から流出部に至る多数の流路面において時間平均相対流れ、散逸、渦スケール、レイノルズ応力6成分の計測を行い、通路内損失に占める乱流混合の寄与度を調査すると共に、乱流混合損失に及ぼす二次流れ、翼端漏れ渦、レイノルズ応力の影響を考察して、乱流混合損失メカニズムを検討することを計画した。 本年度は、シュラウド付き遠心羽根車と半開放形遠心羽根車通路内流れの代表と考えられる通路中間流れを設計点と設計点前後の流量において計測し、以下の結果を得た。 シュラウド付き遠心羽根車の場合、相対速度の欠損域は流量の減少に伴って、シュラウド面近く負圧面側の狭い領域からハブ面に至る負圧面全域に拡大する。レイノルズ垂直応力は、シュラウド面近くから負圧面に及ぶ二次流れ領域で大きく、流量の減少に伴って低下傾向を示す。レイノルズせん断応力は、乱れエネルギーと速度勾配に関連した値や符号を示し、定性的に渦粘性の概念に従う領域が多いが、こうした傾向を示さない場合も二次流れ領域の一部に認められる。散逸は、乱れエネルギーの大きい領域よりも狭い領域に認められるが、損失域と一致する。流量の減少に伴い、散逸領域は負圧面の全面に拡大する。 一方、半開放形遠心羽根車の場合、相対速度の欠損域は、ケーシング面近くの羽根間中央に認められるが、流量減少に伴い、羽根先端すきま漏れに比べ負圧面に向かう二次流れの影響が相対的に強まるため、負圧面側に移動する。レイノルズ垂直応力は、ケーシング面から翼間中央に及ぶ領域で大きく、この領域は流量の減少によりハブ面近くまで拡がる。この値は、流量を減じた場合に二次流れの影響のため負圧面上でも増大し、流量を増した場合は羽根先端すきま漏れの影響のためケーシング面近くの負圧面寄りで著しく増大する。レイノルズせん断応力はケーシング面から翼間中央に及ぶ領域で大きく、定性的に渦粘性の概念に従うが、計測の速度勾配だけでは説明できない符号がケーシング面近くにあり、羽根先端すきま漏れや二次流れのせん断応力に対する寄与の複雑さが窺える。散逸も、ケーシング面から翼間中央に認められ、損失と高い相関がある。この散逸は、羽根先端すきま漏れの影響によりケーシング面近くの負圧面寄りにおいて顕著で、流量減少に伴い、二次流れの影響が強まるため負圧面側にも現れる。半開放形羽根車では、羽根先端すきま漏れがあるため、相対流れや乱れの状況はシュラウド付き羽根車の場合と著しく異なるが、双方とも、負圧面に及ぶ二次流れの影響については流量の減少に伴い増大傾向を示す。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroyuki MIYAMOTO: "Measurements of the Reynolds Stresses at Mid-passages of the Unshrouded and Shrouded Centrifugal Impellers"Proceedings of the 3rd ASME/JSME Joint Fluids Engineering Conference. CD-ROM. (1999)
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[Publications] 宮本弘之: "半開放形遠心羽根車の通路中間乱流特性に及ぼす流量の影響"日本機械学会論文集(B編). 66巻642号. 468-474 (2000)