2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650210
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 剛良 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20193592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 祐二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20242274)
中別府 修 東京工業大学, 工学部, 助教授 (50227873)
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Keywords | 境界熱抵抗 / 界面 / 薄膜 / 反射率温度測定法 / 熱抵抗 / フォノン |
Research Abstract |
半導体素子内部の局所微小領域において発生した高密度な熱を除去するためには熱伝導により基板または素子表面まで熱を効率的に輸送し、素子表面から沸騰伝熱等により熱除去を行うことが重要となる。この場合、幾層にも積層された薄膜間を熱エネルギーが輸送されることになるが、この薄膜境界では境界近傍の原子・分子の構造および運動の特異性からバルク内のエネルギー輸送とは異なった特性を持つと考えられる。本研究では界面近傍における原子・分子の構造およびそれらの運動特性と薄膜界面でのエネルギー輸送特性を原子レベルで明らかにし、さらに薄膜製作方法や製作条件による界面近傍の構造や特性の違いを明らかにするを目的としている。 本年度は、前年度に確立した反射率温度測定法を用いて、基板(ガラス,NaCl,SrTiO3,Al2O3,MgO,Si)と薄膜物質(Au,Pt)の組み合わせ、蒸着時の基板温度(-190℃〜300℃)、薄膜生成方法(真空蒸着、イオンスパッタ)が境界熱抵抗に及ぼす影響について調べた。その結果、薄膜がエピタキシャル状または多結晶状の場合の境界熱抵抗はおよそ1.0x10^<-8>[m^2K/W]であり、原子配列の乱れとともに境界熱抵抗は大きくなり、アモルファス薄膜ではおよそ3.0x10^<-7>[m^2K/W]となることがわかった。しかし、基板と薄膜の組み合わせによる影響は測定精度の問題から明確にはできなかった。 さらに、界面近傍におけるフォノン輸送、電子輸送を考慮することにより、実験で求められた境界熱抵抗は従来言われでいるフォノン輸送のミスマッチに起因するだけではなく、界面近傍におけるフォノンと電子輸送の非平衡性からも生じていることを示した。
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