2000 Fiscal Year Annual Research Report
急速沸騰気泡付与による高濡れ性液体の沸騰開始温度の制御
Project/Area Number |
11650211
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
奥山 邦人 横浜国立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60204153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 嘉宏 横浜国立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90005299)
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Keywords | 沸騰誘起 / 高濡れ性液体 / 急速沸騰気泡衝突 / 沸騰開始温度制御 / 伝熱促進 |
Research Abstract |
電子素子の沸騰冷却に使用される電気絶縁性冷媒は、沸騰開始時の顕著な温度超過が機器の誤動作や破損の要因となりうるため問題となっている。従来より核沸騰促進面の利用などの受動法および超音波照射などの能動法が温度超過の低減化に有効となりうることが示されてきたが、小規模な設備で沸騰開始温度を確実に制御できる方法は未だ確立されてはいない。本研究は、伝熱面近傍の微小ヒータを急速加熱し発生する気泡を伝熱面に付与することにより、既存気泡核を活性化させ、沸騰開始温度を制御する可能性を検討することを目的として研究を行った。昨年度は電気絶縁性冷媒と同様に濡れ性が高い有機液体であるエタノールを用いたのに対し,本年度は実際に絶縁性冷媒であるFC-72を用いて実験研究を行った。主な結果は以下の通りである。 1.FC-72液中に垂直配置した銅箔伝熱面垂直上方0.1〜0.7mmの位置に白金細線を張り、これをパルス通電加熱した際発生する急速沸騰気泡を箔伝熱面に衝突させた。距離0.1mmの場合、ステップ状に加熱される箔面上に常に沸騰が誘起され、伝熱面に沿って速やかに広がり全面が核沸騰状態となった。ステップ加熱開始後、より速やかに細線をパルス加熱した場合の方が伝熱面最高到達温度は低くなった。また、伝熱面水平上向配置の場合も低過熱度で沸騰が誘起されることが示された。 2.白金線と伝熱面の距離を発生直後には急速沸騰気泡が伝熱面に直接衝突しない0.3〜0.7mmにとった場合、また銅箔伝熱面をステップ加熱する前に細線から急速沸騰を発生させても加熱後の箔面上に沸騰が誘起される場合があることが示された。さらに、伝熱面が定常加熱されている場合もある過熱度以上であれば、急速沸騰気泡付与により誘起された沸騰が全面に広がることが示された。
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