1999 Fiscal Year Annual Research Report
食品凍結における伝熱と品質変化を連結する階層的研究
Project/Area Number |
11650213
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多田 幸生 金沢大学, 工学部, 助教授 (20179708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百生 登 富山県立大学, 工学部, 助手 (80239590)
瀧本 昭 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20019780)
林 勇二郎 金沢大学, 工学部, 学長 (30019765)
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Keywords | 食品 / 凍結 / 氷晶形成 / Cryo-SEM / 凍結損傷 |
Research Abstract |
食品の凍結保存は,原理的には,低温化と活性水分の低減により品質の長期維持を図るものであるが,凍結過程で各種の機械的損傷や膠質的損傷を伴う。したがって,食品凍結においては,(1)マクロな伝熱現象,(2)細胞内外での氷晶の偏在形成や,細胞膜を通した水分移動による溶液の濃縮と細胞の収縮などのミクロな現象,(3)これらの状態のもとでの組織・組成の物理・化学的変化,の階層的な取扱いが必要であり,最終的に(4)色調,風味,テクスチャー(食感)などの官能評価へと繋がる。 本課題は以上の観点に立って進めるものであり,本年度は主としてマグロ魚肉の凍結過程のCryo-SEM観察およびドリップ量の測定により,(2)と(3)の連関を追及し,以下の成果を得た。 (1)緩速冷却の場合には筋繊維間の領域に形成された氷晶の成長が支配的であり,水分は筋繊維内から筋繊維間隙に移動して凍結する。これに対して急速冷却の場合には筋繊維内部に多数の微細氷晶が発生・成長する。 (2)約60%の氷晶が0℃から-10℃の温度帯域で生成され,氷晶の性状はこの温度帯通過する時間と関係し,通過時間が短いほど氷晶径が小さく,数密度が多くなる傾向が明らかとなった。 (3)解凍後のドリップ量は氷晶径が大きくなるほど多くなり,また,凍結固相率が小さい段階では氷晶の生成箇所(筋繊維の内外)の影響が認められた。 (4)筋繊維を基本ユニットとした凍結モデルが掲示され,それに基づく至適冷却操作が検討された。
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Research Products
(2 results)