2001 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界雰囲気中に噴射された液体燃料の微粒化・気化・混合・燃焼過程の研究
Project/Area Number |
11650219
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅村 章 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60134152)
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Keywords | 高圧ジェット / 微粒化 / 臨界混合表面 / 表面張力 / 噴霧 / 線形安定性解析 / 流体力学的作用 / 液糸 |
Research Abstract |
液体燃料は迅速な気化を達成するために微粒化して噴霧の形で燃焼に供される。燃焼形態は噴霧の性状に支配されるので、微粒化技術は噴霧燃焼のキーテクノロジーになっているが、液体ロケットエンジンやディーゼルエンジンで使用されている高圧噴霧に対しては、光学的な観測が困難なために微粒化過程を詳しく調べた例はなく、大気圧下の水噴射実験で得られた知見を流用して設計に利用されているのが現状である。しかし、非常に高い圧力の下では噴射液の表面張力が消失して微粒化が起きなくなる事実からあきらかなように、高圧下の噴射液の微粒化過程は、低圧のものと異なるはずである。今年度の研究では、噴射液の表面が臨界混合状態に近い状態を取るときの噴射液の不安定性を線形安定性解析に基づいて調べ、近臨界混合表面液ジェットに特徴的な不安定性の存在を見いだした。液体表面近くに存在する蒸気の密度が大きく、かつ表面張力が小さくなるため、低速噴射でも近臨界混合表面液ジェットの気体ウェーバー数が大きな値を取り、強い不安定性が現れるというのが、その内容である。この不安定性は、これまで知られていた表面張力に起因した不安定性とは異なって、増幅率が噴射速度に比例し、気体との間に小さな相対速度を持った液柱でも流体力学的作用の助けを借りて短い間隔で液柱を分断して液滴を生成する。従って、微細な噴射液を乱流ジェットで生成される微細な液糸に対応付けて考えることにより、高圧下で微細な液滴で構成される濃厚噴霧が形成される事実を理論的に基礎付けることができた。また、さらに高圧化して表面張力が低下すると、今度は粘性の効きが支配的になって表面張力に起因した不安定性が消失することがわかり、表面の存在しない超臨界流体ジェットの不安定性への移り変わりの道筋についてもあきらかにすることができた。
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[Publications] Umemura, A., Tomida, K.: "Rapid Flame Propagation in a Vortex Tube in Perspective of Vortex Breakdown Phenomena"Combustion Flame. 125. 820-838 (2001)
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[Publications] 若嶋勇一郎, 菱田学, 梅村章: "微小重力場での近臨界表面液ジェットの不安定性(第1報:実験結果)"日本機械学会論文集(B編). (印刷中). (2002)
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[Publications] 梅村章, 若嶋勇一郎: "微小重力場での近臨界表面液ジェットの不安定性(第2報:理論的考察)"日本機械学会論文集(B編). (印刷中). (2002)
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[Publications] 太田貴之, 高森昭一, 梅村章: "パーコレーション理論に基づく噴霧群燃焼発生機構の解析"第39回燃焼シンポジウム講演論文集. 159-160 (2001)
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[Publications] 安藤拓, 内田正宏, 梅村章: "液滴の自着火および火炎挙動に対するマランゴニ対流の影響"第39回燃焼シンポジウム講演論文集. 215-216 (2001)