2000 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質内熱対流カオスに及ぼす多孔質内部幾何構造の影響
Project/Area Number |
11650225
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
増岡 隆士 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30039101)
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Keywords | 自然対流 / 多孔質 / カオス / Hele-Shawセル / リアプノフ数 / エントロピ生成 |
Research Abstract |
狭い間隙内の流れと多孔質内の流れの相似性を利用するHele-Shaw近似の下に,その間隙内には角柱群を配置することにより多孔質を模擬し,下方より過熱された水平多孔質層内の熱対流カオスにおいて,構造体スケールでの加速・減速作用の影響がどのようにあらわれるか,実験および数値解析の両面から検討を行った。実験においては,試験流体として水を用い,構造体スケールでの流れ場と温度場の挙動の把握に感温液晶懸濁法によるかしか観察も応用した。また上記多孔質モデルに対して,水およびグリセリン構造体スケールの微視的観点の直接数値解析を行った。数値解析においては,微視観点のエントロピ生成の解析の組み込みを行った。レイリ数の上昇とともに,構造体まわりの局所流れは,カオス域に遷移すること,その際,構造体まわりの局所位置によりカオス挙動が異なる領域,あるいはカオスを生じていない領域とカオス域が混在し得ることが,温度場時系列の解析および微視観点の可視化から実験的にとらえられた。数値解析においても,局所的加速・減速の作用を考慮する本解析は,局所浮力と逆方向の変動に基づくカオス挙動が,慣性項およびその局所変化を考慮することなく伝熱面に沿う境界層の不安定性に基づく従来のカオス挙動とは異なる局所構造を生じることが明らかとなった。なお従来の境界層不安定に基づくカオス挙動との比較確認のため高プラントル数流体におけるカオス挙動の数値解析を行った。カオス構造の代表スケールが,構造体スケールおよび層全体のスケールと相対的にどのように変化するかを解析するため,数値解析においてはリアプノフ数の構造体周り空間分布の解析を行った。また同時に構造体まわりの局所エントロピ生成分布の時系列変化解析を行った。以上により,実験および数値解析の両面から,多孔質内熱対流に及ぼす内部微視幾何構造の影響を基本的に明らかにしている。
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[Publications] T.Masuoka,Y.Takatsu and T.Inoue: "Chaotic Behaviors and Transition to Turbulence in Porous Media Heat Transfer and Transport Phenomena in Microscale,"(Editors : G.P.Celata), begell house, inc., New York, Wallingford (UK),. 299-303 (2000)
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[Publications] 田中克典,増岡隆士,中村裕章,大嶋敏宏: "非均質多孔質壁による対流の抑制"日本伝熱シンポジウム講演論文集,. Vol.1,. 335-336 (2000)
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[Publications] 谷川洋文,増岡隆士,井上達哉: "感温スクリーンによる熱対流制御に関する研究"日本伝熱シンポジウム講演論文集,. Vol.1,. 337-338 (2000)
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[Publications] 増岡隆士,井上智己,高津康幸: "多孔質層内流れの乱流遷移について"日本伝熱シンポジウム講演論文集,. Vol.1,. 951-952 (2000)
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[Publications] 増岡隆士,高津康幸,井上智己: "多孔質内流れのカオス・乱流遷移"日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集,. 00-14-806,. 1-5 (2000)