2000 Fiscal Year Annual Research Report
水の気液界面物質伝達機構の分子動力学解析と毛細管実験による検証
Project/Area Number |
11650228
|
Research Institution | KYUSHU INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
鶴田 隆治 九州工業大学, 工学部, 教授 (30172068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 洋文 九州工業大学, 工学部, 助手 (80197524)
|
Keywords | 気液界面 / 物質伝達 / 凝縮係数 / 水分子 / 分子動力学 / 分子交換 / 非平衡蒸発 / 蒸発係数 |
Research Abstract |
工学的に重要な物質である水について,気液界面における水蒸気分子の凝縮・反射特性を解明するため,分子動力学法を用いた数値解析を行った.また,非平衡蒸発実験を行い,界面物質伝達量を計測して理論との比較を行った. 分子動力学シミュレーションでは,C-Cポテンシャル及びSPC/Eポテンシャルの二種類の分子間ポテンシャルモデルを用いて異なる構造を持つ気液界面を準備し,水分子の凝縮と反射の確率,蒸発分子の速度分布関数を統計的に求め,各エネルギー状態との関連を整理した.また,入射分子が界面分子を蒸発させる分子交換現象を検証した. その結果,水分子の凝縮確率も単原子分子と同様に並進運動に支配され,並進運動エネルギーの界面鉛直成分と界面温度に依存して決まり,凝縮係数は単原子分子と同じ近似式によって表現されることがわかった.また,回転運動による顕著な差も確認されなかった.さらに,分子交換現象は,存在こそするものの,その頻度は少なく,凝縮係数を1より有為に低下させる原因とは言えないと判断された. 次いで,気液界面の3次元性に着目した遷移状態説理論による凝縮係数の検討を行い,凝縮の遷移状態が気液の界面層内に存在し,凝縮係数が界面層にある活性錯合体と気体分子の自由体積の比,並びに活性化エネルギーの関数として表現できることを示した.そして分子動力学解析と照合し,界面構造との関連から凝縮係数の定式化を行った. 最後に,制限空間を利用した非平衡蒸発実験を行い,蒸気相の圧力変化から界面での物質伝達率を測定した.これによって評価された水の凝縮係数は,低圧域において0.1から0.2程度の値となり,分子動力学法から算出された1に近い値と比較すると有意に小さい値となった.この差の理由として,不凝縮性ガスの存在が考えられるが,その詳細の解明は今後の課題となった.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 間手野久: "水の気液界面相互作用の分子動力学的研究"日本機械学会第12回計算力学講演会講演論文集. 121-122 (1999)
-
[Publications] 鶴田隆治: "Non-Equilibrium Mass Transfer at Liquid-Vapor Interface"Proc.of Symposium on Energy Engineering in the 21st Century (SEE2000). 2. 672-679 (2000)
-
[Publications] 鶴田隆治: "水の凝縮係数と気液界面物質伝達"日本機械学会2000年度年次大会講演論文集. 4. 487-488 (2000)
-
[Publications] 鶴田隆治: "A Molecular Dynamis Approach to Interphase Mass Transfer between Liquid and Vapor"Proc.of the Int,Conf.on Heat Transfer and Transport Phenomena in Microscale. 432-439 (2000)
-
[Publications] 鶴田隆治: "Molecular Dynamis Study and Transition State Theory on Condensation Coefficient"Proc.of the 4th JSME-KSME Thermal Engineering Conference. 3. 307-312 (2000)
-
[Publications] 長山暁子: "高温領域の水の凝縮係数に関する分子動力学的研究"日本機械学会第13回計算力学講演会講演論文集. 397-398 (2000)