1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650230
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 弘前大学, 理工学部, 教授 (30127972)
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Keywords | 火災 / 消火 / 水性気泡 / 不活性ガス / 消火濃度 / 消火時間 |
Research Abstract |
ハロン系消火剤に代わる新消火法の確立とその設備開発が急務となっている。本研究は火炎基部からの空気の流入を絶つことが消火に極めて有効との考えから、水生の気泡内に不活性ガスを閉じ込めて、これを火炎基部に集中させることで安全かつ効率的な消火を実現させることを目的としている。以上の状況を踏まえて、平成11年度は1.不活性ガスを含む水性気泡消火実験装置を製作する、2.不活性ガスの種類、水流量およびガス流量をいろいろ変えて消火実験を行い、最適な消火条件を見出す、の2項について研究を遂行した。消火実験は直径20cmの液体プール火災を対象に、界面活性剤を含む水と消火ガス(窒素、二酸化炭素、イナージェンガスおよび比較のための空気)を混合して泡ヘッドより火災に噴射し、消火までの時間とその様子を高速度ビデオで観察した。以上の結果、以下の知見を得た。1)ガス流量一定の条件での消火時間は液流量の増加とともに減少するが、ある流量以上で一定になる。2)液流量一定の条件での消火時間はガス流量の増加とともに減少するが、あるガス流量以上で一定となる。3)上記の1)と2)から、消火時間が最小となる最適な水流量とガス流量が存在する。3)気泡内の不活性ガスとしては二酸化炭素が最も消火時間が短く、消火の効率が高い。4)本実験での二酸化炭素のみでの消火濃度が約24%であるのに対して、泡消火による二酸化炭素の消火濃度は2〜5%に減少する。以上のことから、不活性ガスを含む泡消火法は不活性ガスのみの消火に比べ、消火濃度を大幅に下げることが可能で、人体への安全性が向上することが確認された。次年度は消火の機構について検討を行う。
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[Publications] 伊藤 昭彦: "The Measurement of Transient Two-Dimensional Profiles of Velocity and Fuel Concentlation Over Liquids"Journal of Heat Transfer. Transactions of the ASME. 121巻2号. 413-419 (1999)
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[Publications] 小西 忠司: "液体燃料の引火点および燃え広がりに与えるスケール効果"日本火災学会研究発表会概要集. 218-221 (1999)
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[Publications] 伊藤 昭彦: "不活性ガスを含む泡消火に関する研究"日本火災学会研究発表会概要集. (発表予定). (2000)
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[Publications] 本田 尚士: "環境圏の新しい燃焼工学"(株)フジ・テクノシステム. 1595 (1999)