Research Abstract |
本研究では,直線における振動制御とストッパ当たりの抑制を目的としたセンタリング制御を両立させる制御機構について検討した. 始めに,数値シミュレーションにより,制振とセンタリングの併合制御の有効性を単純なLQ制御則を用いて検討した.まず,制御無しの場合,曲線通過中に外軌側へ大きな変位を生じ,ストッパ当たりを生ずるのに対し,制御有りの場合では,車体が軌道中心方向に押し戻され,ストッパ当たりが抑制されることが示された.次に,アクチュエータ取り付け高さが制御効果に及ぼす影響を調べ,センタリング制御を行う上で有効な高さは,ほぼ二欠ぱね中心高さに相当することを示した.ここで最大制御力は,曲線半径300mを本則+45km/hの速度で走行する場合の24kNであり,これは車体重量の約20%に相当する値であり,振動制御のみに要する力を大きく上回るものであった.なお,この検討では,コントローラ設計のための状態変数として,車体・台車間の相対変位と相対速度を考慮することの有効性を確認した. 第2に,模型実験装置を用いて実験的な検討を行った.実験装置を傾斜させて7度相当の超過遠心力が作用する状態を作り加振すると,振動制御のみのコントローラは全帯域でストッパ当たりを生じた.しかし,センタリング制御を併合することによって,全帯域でのストッパ当たりを抑制した.次に,振動制御のみ,およびセンタリングとの併合制御の実験結果を比較し,以下の結果を得た.鉄道車両が高速で曲線を通過する時,センタリング併合制御により,乗り心地に悪影響を及ぼしやすい振動数帯の振動に減少が認められ,乗り心地改善の可能性が示された.また,振動制御とセンタリング制御は両立はするものの,その効果はトレードオフ的な関係にあることが示された.
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