2000 Fiscal Year Annual Research Report
曲線中で過度の遠心力を受ける鉄道車両のアクティブ振動制御
Project/Area Number |
11650244
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
谷藤 克也 新潟大学, 工学部, 教授 (30197529)
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Keywords | 鉄道車両 / 曲線通過 / 高速化 / 乗り心地 / アクティブ振動制御 / センタリング制御 / ストッパ当り / 模型実験 |
Research Abstract |
本研究では,直線における振動制御と高速曲線走行時のストッパ当たり抑制を目的としたセンタリング制御を両立させる制御機構と制御則について検討が行われている. 昨年度は,単純なLQ制御則によるシミュレーション検討から,大きな超過遠心力が作用する状態でも車体を軌道中心方向に押し戻し,ストッパ当たりを抑えるとともに振動も抑制できる可能性が示された.ここでは,コントローラ設計のための状態変数として,車体・台車間の相対変位と相対速度を考慮することが有効であり,また,そのアクチュエータ出力は振動制御のみに要する力を大きく上回ることを示した.これらは,模型車両装置を用いた実験でもある程度の効果が確認されたが,振動制御とセンタリング制御の効果にはトレードオフ的な関係のあることが示された. 今年度は検討をより現実に近づけるため,実際に測定可能な観測量から制御に必要な状態量を推定するLQG/LTR制御則と,両制御の制振周波数域を考慮して制御性を向上させるH∞制御則の適用を検討し,それぞれ半車両縮小模型実験装置を用いてその有効性を検証した.結果をまとめると,以下のようになる. (1)振動制御に用いられてきた加速度のみを観測するコントローラでは,センタリングが十分に機能しないためストッパ当たりを防ぐことができず,1次固有振動数を超える帯域で振動の増大を招く. (2)センタリング機能を向上させるため,観測量として車体・台車間の相対変位を加えることが有効である.この車体・台車間の相対変位は,実際の鉄道車両で測定可能な観測量である. (3)H∞制御則では,この相対変位にかける重みのゲインとカットオブ周波数を選択することにより,両制御間のトレードオフの関係が調整できる.
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[Publications] 山上博: "鉄道車両の高速曲線通過におけるストッパ当りを考慮したアクティブ振動制御"日本機械学会第6回「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集. 99-7. 65-66 (1999)
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[Publications] 筒井良彦: "曲線でのセンタリング機能を含んだ鉄道車両の振動制御に関する実験的検討"日本機械学会北陸信越学生会第29回卒業研究発表講演会講演論文集. 151-152 (2000)
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[Publications] Katsuya Tanifuji: "Mechatronics in Japanese Rail Vehicles : Active and Semi-Active Suspensions"Preprints of 1^<st> IFAC-Conference on Mechatronic Systems. Vol.1. 259-264 (2000)