1999 Fiscal Year Annual Research Report
光電子放出顕微鏡によるアルミナ表面電子放出領域の観測
Project/Area Number |
11650279
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小林 信一 埼玉大学, 工学部, 教授 (40008876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前山 光明 埼玉大学, 工学部, 助教授 (00196875)
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Keywords | 光電子放出 / 光電子放出顕微鏡 / カソードルミネセンス / アルミナ / 重水素ランプ |
Research Abstract |
導体を保持,固定するには絶縁体(誘電体)が必要であるが,その表面に沿って生ずる放電は,同一距離のギャップよりも低い電圧で発生するため,機器の小型化・高信頼化の障害となっている.この沿面放電を誘発する電子放出現象をミクロな立場から研究する第一歩として,アルミナ表面における電子放出領域を明らかにすることを目的として本研究が開始された. 本年度は,重水素ランプを用いた真空紫外光源を用意し,平成9年度の科研費で整備された放出型電子顕微鏡と組み合わせることにより,光電子放出像が得られることを目標に実験を行った.その結果,アルミナに重水素ランプからの真空紫外光を照射すると,光電子放出が励起され,放出型電子顕微鏡により像を得ることができるようになった.その電子放出の様相から,誘電体からの電子放出は,紫外線照射の間連続的に生じているのではなく,電子放出点が一瞬生じたかと思うとその点での電子放出が消滅し,次に別の点で電子放出が生ずることが判明した.このことは,電子放出によりその点が帯電する結果,そこでの電子放出が停止し,新たな点で電子放出が起こることを表している.従って,誘電体からの電子放出の様相は,金属からのものとは異なるものであることが明らかに刷ることができた.このような誘電体からの電子放出現象を可視化し,観測することは本装置により可能となった. これらの成果及び結果は,2000年9月に英国,グラスゴーで開催される13th Int.Conf. on Gas Discharges and their Applicationにおいて発表することになっている.来年度は,その電子放出点が,アルミナの結晶粒に存在するものであるか,あるいは結晶粒界に存在するものであるかを明らかにしたいと考えている.
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Research Products
(1 results)