発電エネルギーの貯蔵機能を合わせ持つ新規光発電素子開発に関する研究

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11650286
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 原 一広 九州大学, 工学研究科, 助教授 (00180993)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 岡部 弘高 九州大学, 工学研究科, 助教授 (90221142)
• Keywords: フォトクロミズム / 遷移金属 / 光触媒 / 光電変換 / ゲル化 / タングステン酸 / 半経験的分子軌道計算 / 表面

Research Abstract

本年度は、セル試作に備えた基礎物性の研究を重点的に行なった。また来年度のセル試作に向けてセルの構造を検討した。詳細は以下の通りである。
フォトクロミズム・エレクトロクロミズム複合系セルの試作にはまず有機分子配合試料で薄膜を作成する手法を確立する必要がある。そのためにはゾルゲル法を用いる予定であり、その力学特性について調べた。ゾルゲル過程を表面波測定で評価した結果、タングステン酸ではゲル化点近傍において表面波速度が不連続な変化を示し、一般的なゲルであるゼラチン等とは異なる特性を示した。この特徴は、タングステン酸では微粒子が比較的均一に凝集することにより、ゲル化点近傍において一度にマクロなゲルが形成され、大きな弾性変化が生じることを示しており、この結果からタングステン酸ゲル単独では薄膜作製時に膜に亀裂を生じさせ安いという問題点が明らかになった。そこで、タングステン酸に添加する高分子の量によって薄膜の力学物性を調整する必要性が示唆された。高分子のタングステン酸への添加はフォトクロミズムやエレクトロクロミズムの増感をもたらすが、力学物性の調節との兼ね合いで実際の製膜には最適値があることが分かった。また、ゾルゲル法では乾燥ガラス化による非加熱プロセスを用いるためにゲルの乾燥時における構造の変化を調べガラス状態への移行に関する基礎的な知見を蓄積した。
以上の知見を基に、複合系セルの試作を行なうためのセル構造の検討を行った。基本的には透明電極の下に有機分子配合試料を、さらにその下には、プロトン等陽イオンを出入りさせるために電解質置き、一番下に電子を取り出すための電極を取り付けるという構造を取る。しかし、実用化のためには高効率化が不可欠であり,そのために燃料電池で用いられているイオン交換膜を応用することを検討中である。

Research Products

• [Publications] H.Okabe, K.Hara, S.Kai: "Viscoelastic Properties near the Sol-Gel Transition"AIP(American Institute of Physics) Conference Proceedings 469, Slow Dynamics in Complex Systems. 673-674 (1999)
• [Publications] H.Okabe, K.Kuboyama, K.Hara, S.Kai: "Surface Waves and Viscoelastic Properties of Gels"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 24. 575-578 (1999)
• [Publications] M.Sugiyama, S.Kuwajima, Y.Soejima, A.Nakamura, N.Hiramatsu, T.Kikukawa, A.Suzuki, K.Hara: "Microphase Separation in Dehydrated N-isopropylacrylamide/sodium Acrylate Gel"Japanese Journal of Applied Physics. 38. Express Letter 1360-1362 (1999)
• [Publications] K.Hara, M.Sugiyama, A.Nakamura, N.Hiramatsu, A.Suzuki: "Property Change in Some Synthesized Gels by Dehydration"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 24. 571-574 (1999)
• [Publications] K.Hara, M.Sugiyama, A.Nakamura, N.Hiramatsu: "Transition Features in the Dehydration of Polymer Gels"Journal of the Korean Physical Society. 35. 1387-1391 (1999)
• [Publications] H.Okabe, K.Kuboyama, K.Hara, S.Kai: "Viscoelastic Behavior of Tungstic Acid Gel during the Gelation Process"Hydrocolloids Part.1 Physical Chemistry and Industrial Applications of Gels, Polysaccharides, and Proteins. 79-84 (2000)