1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650314
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
工藤 一浩 千葉大学, 工学部, 教授 (10195456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国吉 繁一 千葉大学, 工学部, 助手 (30092050)
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Keywords | 静電誘導トランジスタ / 分子トランジスタ / 有機超薄膜 / 有機半導体 / 銅フタロシアニン / メロシアニン / ショットキーゲート / 真空蒸着膜 |
Research Abstract |
本研究では、有機系ディスプレイ駆動用素子として有機半導体材料と埋め込み型ゲート電極を用いた静電誘導型トランジスタ(Static Induction Transistor:SIT)を作製し、その基礎的電気特性について調べた。有機半導体として銅フタロシアニン(CuPc)蒸着膜を用い、ゲート電極としてアルミニウム(Al)蒸着膜は用いた結果、良好なショットキー障壁を形成することを確認した。また、ガラス基板上にソース、ドレイン電極として金(Au)蒸着膜、ゲート電極として半透明Al蒸着膜を形成したSIT素子(Au/CuPc/Al/CuPc/Au)の静特性を測定結果を調べた結果、CuPc蒸着膜の膜厚とAlゲート電極形状がトランジスタ特性に大きな影響を与えていることが判明した。そこで新規に導入した成膜コントローラを用いて、CuPc蒸着膜とAlゲート電極の膜厚を精密に制御することによって、有機SIT素子のソース・ドレイン間を流れる電流をAlゲートに加える電圧によって制御できることを確認した。しかしながら、走査型プローブ顕微鏡による観察結果、成膜コントローラのみでは微細なAl電極構造まで制御することが難しいことが分かった。そこで、電子顕微鏡で使われる金属メッシュ(40μm程度の微細メッシュ構造)を蒸着マスクとしてAlゲート電極を作製すると周期的なスリット状ゲート電極構造を得ることができ、比較的安定したSIT特性が得られた。一方、有機発光素子(EL素子)の正孔輸送層として広く用いられているTPDとα-NPDを有機薄膜層としたSIT素子を作製した結果、典型的なSIT特性を有する素子を得ることが可能となった。現在、得られた基礎データをもとに有機EL素子とSIT素子を組み合わせた有機ELトランジスタ構造を設計し、素子のトランジスタ特性と発光特性の関係について調べている。今後、サイリスタ構造を有するスイッチング機能についても研究を進めて行く予定である。
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[Publications] 丸上、飯塚、国吉、工藤、田中: "有機色素を用いたSIT構造光センサの評価"電子情報通信学会技術報告. OME99-77. 17-21 (1999)
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[Publications] 工藤、飯塚、国吉、田中: "SPMを用いた有機超薄膜の局所物性評価と分子トランジスタへの応用"電子情報通信学会エレクトロニクスソサエティ講演論文集. 2. 152-153 (1999)
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[Publications] 丸上、飯塚、国吉、工藤、田中: "有機色素を用いたSIT構造光センサの応用"第60回応用物理学会学術講演会講演予稿集. 3. 1050 (1999)
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[Publications] 池上、飯塚、国吉、工藤、田中: "有機ELトランジスタ"第47回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. 3(発表予定). (2000)
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[Publications] 工藤: "超薄膜の層構造制御とデバイス応用"平成12年電気学会全国大会講演論文集. (発表予定). (2000)
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[Publications] 工藤: "電子機能として期待されるもの-分子系の得意な電子機能-"応用物理学会・日本化学会合同シンポジウム. (発表予定). (2000)