2000 Fiscal Year Annual Research Report
酸化シリコンナノポーラス薄膜の低誘電率材料への応用
Project/Area Number |
11650317
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
内田 和男 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (80293116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 洋 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (00134867)
|
Keywords | カズ中蒸発法 / SiO_x超微粒子膜 / 低誘電率層間絶縁膜 / 空孔率 / HMDS |
Research Abstract |
本研究ではガス中蒸発法によりSiO_x超微粒子膜を作製し、k 2.0以下の低誘電率層間絶縁膜を実現するための基礎実験とその評価を行った。このガス中蒸発法とは真空チャンバー内に低圧の雰囲気ガスを導入し、物質を蒸発させることにより超微粒子を生成する方法である。基板に堆積する際に微粒子が重なり合った構造となり膜に空孔ができるため、低誘電率膜ができる。ガス圧の上昇につれて微粒子の粒径は大きくなり、膜の空孔率も増加する。結果として雰囲気ガスAr+O_25%で作製した膜の組成は深さ方向によらず、ほぼSiO_2となっており、空孔を含む構造から非常に低いk値が得られた(作製圧力0.5Torrでk=1.6)。しかし、膜に多量に含まれるSi-OH結合および膜に吸収されたH_2Oのために膜のk値は上昇していた。この水吸着を防止する方法として、HMDS(Hexamethyldisilan)を塗布し疎水処理を施す実験も行った。HMDSの塗布により膜のSi-OH結合は減り、as depo.の膜と比べ更に低いk値が得られた(作製圧力0.5Torrでk=1.4)。 as depo.の膜を真空中で350℃に昇温して測定したk値は膜に吸収された水分の影響が無いために更に低い値を示した(作製圧力0.5Torrでk=1.3)。一方、Arガス中で作製しその後酸化した膜は基板付近ではSiO_2までは酸化は進んでいないものの、それより表面寄りではほぼSiO_2まで酸化されていた。この膜に含まれるSi-OH結合は少なく大気中においても、HMDSの塗布を行うことなく非常に低いk値を得ることができた(作製圧力0.5Torrでk=1.4)。 本研究によって得られた膜は、材料自体はSiO_2であるため、高温安定性に優れ、絶縁劣化に強いこと、そして従来の酸化膜の集積化方法を大きく変更することがない、安価であるという大きな利点を持っている。
|