2000 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファスシリコンのバンドテイル状態およびキャリア輸送特性の厳密評価
Project/Area Number |
11650324
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 公則 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (80228486)
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Keywords | アモルファスシリコン / キャリア輸送 / キャリア再結合 / 変調光電流 / タイムオブフライト / 光劣化 |
Research Abstract |
アモルファスシリコンのバンドテイル準位はキャリアの緩和・再結合および輸送特性に多大な影響を与えている。その詳細を調べるべく、理論実験両面にわたる詳細な研究を行った。理論面においては、バンドとの熱的相互作用と局在準位間トンネル遷移を考慮した、アモルファス半導体における統一的キャリア緩和・再結合理論を構築し、実験結果の検証を含む厳密な解析を行った。解析においては、変調光電流測定結果との定量的照合を年頭におき、主にフーリエドメインにおける諸特性の解明に重点を置いた。実験的に確認されている有限の局在半径を課したとき、理論はトンネル相互作用に基づく顕著な効果、緩和プロセスの促進およびこれに対応するドリフト移動度の低下を明らかにした。解析結果は変調光電流の実験結果とよく一致し、これにより本理論の妥当性が確認された。またトンネル遷移を介して発現する付加的再結合経路の重要性が数値計算によって示唆された。光電変換デバイス応用を考えたとき特に注目に値する発見は、室温においてさえも、トンネル再結合の割合が全体の2/3にも及ぶことである。これらの研究結果に基づいて、この分野のこれまでの伝統的理解には大規模な改変が必要であるものと結論される。また実験面においては、周波数分解タイムオブフライト法を用いた正孔輸送特性と光誘起構造変化に関する詳細な調査を行った。光劣化にともない正孔のドリフト移動度には、電子のそれには観測されない有意な低下が見られた。これは光誘起構造乱れが価電子帯側の電子状態に選択的ダメージを与えていることを物語る。光誘起構造変化および欠陥生成機構の完全な解明を実現するには理論的・実験的研究をさらに前進させる必要があるものの、本研究の成果はそのゴールへの重要な第一歩を成すものと認識される。
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