1999 Fiscal Year Annual Research Report
固体絶縁物のインパルス破壊に及ぼすトラッキングとトリーイングの効果
Project/Area Number |
11650334
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
花岡 良一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90148148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 紀男 金沢工業大学, 工学部, 教授 (20229892)
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Keywords | 沿面放電 / 変圧器油 / ポリエチレン絶縁電線 / トリーイング / トラッキング / 電インパルス高電圧 / インパルス電圧波頭長 |
Research Abstract |
(A)気体/固体界面の放電現象に関する研究として、印加するインパルス電圧の波頭長が、ポリエチレン電線表面の沿面放電現象に如何なる影響を及ぼすを詳細に測定し、以下の知見を得た。 (1)正極性沿面放電の進展長は、印加電圧波高値の上昇と共に増加し波頭長の影響を受けない。 (2)正極性沿面放電は、常に電線表面をジャンプしながら進展し、放電の様相は波頭長の影響を受けない。 (3)負極性沿面放電の進展長は、印加電圧の波頭長によって影響される。すなわち波頭長が大きくなるほど進展長の伸びは抑制される。 (4)負極性沿面放電は、細い筋状の放電を伴いながら電線表面に密着して進展し、放電の様相は波頭長の影響を受けない。 (B)変圧器油/固体表面の放電現象に関する研究として、固体表面の幾何学的形状を変化、すなわち、表面に細い溝が存在する場合と突起(障害物)がある場合について、インパルス沿面放電の特性を調べた。その結果、以下の知見を得た。 (1)正、負いずれのインパルス電圧を印加しても、電圧の波頭長が長いとき沿面放電の進展長は僅かに伸びる。 (2)正極性沿面放電は、固体表面の幾何学的形状によって殆ど影響されないが、負極性沿面放電はそれらの影響を顕著に受ける。すなわち、負極性のストリーマーは、固体表面に密着して進展するために、細い溝が存在する場合はその溝に沿って、また、障害物がある場合はそこで停止する。従って、進展長も変化する。 (C)固体内に発生するトリーイングに関する研究として、試料にPMMAを用いて、断続的にインパルス電圧を印加した場合の特性を調べ、トリーの進展長と進展様相に特徴的な現象を見出した。 (1)特に、正極性のトリーは、数回(約3回)の電圧印加に対しては新たなトリーの発生を示すが、それ以上の電圧印加回数においては、その進展を停止する。 (2)これは、初期トリーの発生によって固体内に蓄積された電荷に関連するとの知見を得た。
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[Publications] 勝山佳則、花岡良一、新保實: "負極性インパルス電圧印加による高分子材料(PMMA)の放電トリー(電圧連続印加による様相変化)"平成11年度電気関係学会北陸支部連合大会講演論文集. A-20. 20 (1199)
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[Publications] 岡田健一、西敏行、花岡良一、宮本紀男: "架空絶縁電線表面の沿面放電に及ぼす印加電圧波頭長の影響(バインド線に電圧を印加した場合)"平成11年度電気関係学会北陸支部連合大会講演論文集. A-21. 21 (1199)
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[Publications] 勝山佳則、花岡良一、高田新三、新保實、香林利幸: "インパルス電圧連続印加によるPMMA中の放電トリー現象"電気学会研究会資料、放電研究会. ED-00-9. 49-54 (2000)
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[Publications] 坪井信吾、西敏行、岡田健一、花岡良一、高田新三、宮本紀男: "架空絶縁電線表面の沿面放電に及ぼすインパルス電圧波頭長の影響"平成12年度電気学会全国大会講演論文集. 1-208. (2000)