1999 Fiscal Year Annual Research Report
ECRスパッタ法によるコバルト含有酸化鉄薄膜メディアの低温・高速作成法の研究
Project/Area Number |
11650349
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 節夫 山口大学, 工学部, 助教授 (30182629)
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Keywords | 電子サイクロトロン共鳴 / スパッタ成膜 / コバルト含有酸化鉄薄膜 / 酸化鉄薄膜 / フェライト薄膜 / ECRスパッタ法 / 磁気ディスク / 磁気テープ |
Research Abstract |
申請者らが提案し、超高密度記録用磁気ディスク/テープヘの応用を目指して研究を進めているコバルト含有酸化鉄(Co-γFe_2O_3フェライト)薄膜メディアについて、低温で高速に作成する技術を確立することが本研究の目的である。最終目的とするCo-γFe_2O_3フェライト薄膜を得るには、従来法では困難である酸化の促進、スピネル型の結晶構造の実現、がキーポイントである。本年度は以下の成果を得た。 (1)高活性なプラズマを生成できる電子サイクロトロン共鳴(ECR)マイクロ波プラズマ生成法とイオンビームスパッタ法を組み合わせた薄膜形成法(ECRスパッタ法)を初めて導入した。Fe-Co合金ターゲットを用いて、Ar+O_2を用いて、熱酸化Si基板上に1段階のみの反応性スパッタ法によりフェライト薄膜を基板温度165℃の低温で作製する可能性を検討した。 (2)プロセスガスにHeを添加すると、フェライト薄膜の電気抵抗が著しく(約3倍)が増加し、抗磁力も1.3倍に増加した。これはHeのペニング電離作用により酸素のイオン化が促進されたためである。 (3)最大の抗磁力を得るにはプロセスガスの酸素分圧を3×10^<-6>Torrとするのが最適であった。酸素分圧が大きいとターゲット自体が酸化してしまい、少なすぎると膜の酸化が不十分であるためである。 (4)ECRスパッタ法を用いての反応性スパッタ法は、強い酸化を必要とするコバルト含有酸化鉄薄膜の作成法として極めて有望であるといえる。ただし、現段階ではCo-γFe_2O_3フェライト薄膜の結晶構造はまだ実現されていない。今後は、結晶配向を促進させるためにNi0下地膜を導入し、Co-γFe_2O_3フェライト薄膜の実現を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山本節夫: "酸素イオン照射によるCo含有酸化鉄薄膜メディアの作製"日本応用磁気学会誌. 23・4-2. 1021-1024 (1999)
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[Publications] 山本節夫: "垂直および長手記録方式に対応可能な酸化鉄薄膜メディア"日本応用磁気学会誌. 23・5. 1739-1745 (1999)
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[Publications] 千々松孝: "チタン製真空容器の真空特性"真空. 42・3. 200-203 (1999)
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[Publications] 山本節夫: "ECRスパッタ法で作製したCo-Cr-Ta垂直磁気ディスク"日本応用磁気学会誌. 23・S2. 55-58 (1999)