1999 Fiscal Year Annual Research Report
熱ポーリング石英薄膜導波路を用いた光ディスク光源用SHGレーザの開発
Project/Area Number |
11650352
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
黒澤 宏 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (80109892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 晃弘 宮崎大学, 工学部, 助手 (00264367)
横谷 篤至 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00183989)
福井 一俊 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80156752)
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Keywords | 石英ガラス / 二次非線形光学性 / ポーリング / 欠陥 |
Research Abstract |
金属不純物を含む石英ガラスを260℃に保持し、5kV/mmの高電界を印加する熱ポーリング法によって本来ガラスは持っていないはずの二次非線形光学性が発現する。しかしながら、四塩化珪素から火炎溶融法で合成した高純度石英ガラスの場合、この熱ポーリング法によって非線形光学性が発現することはない。混合ガスが酸素過剰雰囲気の場合、KrFエキシマレーザー照射によってSiO^-欠陥を導入した後、熱ポーリングによって大きな二次非線形光学性を付加することができるが、一方、水素過剰雰囲気で合成した場合はこのプロセスでは全く非線形光学性が発現しなかった。温度と電界とKrFエキシマレーザーを同時に印加・照謝する実験を行ったところ、レーザーパルス数が少ない間は、パルス数とともに増加する非線形光学性を観測した。照射パルス数が1000パルスを越えると、パルス数とともに非線形光学性は減少した。この原因としては、KrFエキシマレーザー照射によって発生した欠陥が、再消滅する前に温度と電界によってSiO^-とH^+のイオンに分離し、さらにH^+イオンの負電極側への移動が起こるとして説明できる。欠陥が少ない間はレーザーパルスが欠陥を生成し、それによって非線形光学性が発現するが、一方、すでに形成されたSiO^-イオンが多くなると、レーザーパルスによる欠陥の消滅が大きく影響することで説明できる。この結果、熱ポーリングによってあらゆる種類の石英ガラスに二次非線形光学性を発現させることが可能となった。さらに、いずれの場合もSiO^-イオンの作る空間電荷場による直流高電界と本来ガラスが持っている三次非線形光学性の相乗効果によって、二次非線形光学性が発現すると結論できる。
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