2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650359
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Research Institution | CHUBU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
脇田 紘一 中部大学, 工学部・電子工学科, 教授 (20301640)
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Keywords | マイクロ波フォトニクス / 超高速 / 負チャープ / 光変調器 / 光スイッチ / 横電界 |
Research Abstract |
今年度は前年度の研究を踏まえ、具体的な素子設計を進めて変調器としての基本的特性を計算機によってシミュレートし、その潜在的可能性を定量化するとともに、素子作製技術を検討した。その結果、本研究で新たに提案された構造を用いれば、量子閉じ込めの弱い横方向に電界を印加するため、従来の量子閉じ込めシュタルク効果を利用した変調器に比べ1桁以上小さい電界強度で励起子吸収変化を生じ、素子容量も約1桁小さくなって、消光比20dBを得るのに必要な素子長が短くなり、3dB帯域幅は従来のトップデータを大きく凌駕する200GHzを越えることがわかった。さらに、特筆すべきは負チャープ化が比較的低電界で得られることが判明した点である。すなわち、高速・大容量光ファイバ伝送においては光ファイバの分散特性から変調時にチャープパラメータが負となる方が信号の劣化のしにくいことがわかっており、変調器の負チャープ化が重要な課題であったが、従来の吸収型強度変調器では通常、チャープは正でバイアスを深くして伝搬損を増加しないと負にすることが困難であった。本素子では比較的小さい伝搬損でもチャープを負にできることが計算により推定でき、速度、駆動電圧の改良ばかりでなく、負チャープ化という従来にない新しい性能が期待できることがわかった。また、半導体変調器固有の問題であったシングルモード光ファイバとの大きな結合損も、本素子では量子井戸層厚を素子容量とは独立に設計できるので改良できる見通しが得られた。これらは計算段階ではあるが、本年5月に開催される国際会議InP and Related Materials(IPRM)に投稿して受理され発表することになった。現在、これら個別変調器の改良を踏まえて本来の超高速・低駆動電力光スイッチの研究に取り掛かっている。 さらに、変調器の伝搬損を含めた挿入損全般を光吸収電流と消光比のデータから簡単、容易に求めることのできる方法を提案、実証した。
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[Publications] K.Wakita,T.Yokoi and T.Kojima: "A new electroabsorption modulator with full negative chirp operation using a parallel field"Indium Phosphide and Related Materials (IPRM '01). (2001)
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[Publications] 小島友和,脇田紘一: "多重量子井戸構造吸収型光変調器の損失評価"電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌). Vol.120-C No.12. 1828-1832 (2000)
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[Publications] 森田洋祐,脇田紘一: "InGaN/GaN MQW LEDの応答速度と光学的評価"電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌). Vol.120-C No.12. 1823-1827 (2000)
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[Publications] Yosuke Morita,Koichi Wakita: "Response Speed and Optical Investigation of InGaN/GaN Multiple Quantum Well Light Emitting Diodes (LED)"Electrical Engineering in Japan. (2001)
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[Publications] 小島友和,横井貴樹,豊田陽平,脇田紘一: "横方向電界を用いたMQW光変調器の検討"電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌). Vol.121-C No.12. (2001)