1999 Fiscal Year Annual Research Report
低分子有機色素をドープした多重障壁型高分子負性抵抗素子の開発
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11650364
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
川本 昴 福井工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (90110189)
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Keywords | 負性抵抗素子 / トンネル効果 / 有機色素 / フェルミ準位 / PVK / TPD / 高分子 / 界面トンネルモデル |
Research Abstract |
新規負性抵抗素子の負性抵抗の発現機構としてトンネル効果に基づいた2つのモデルが考えられる。1つが電極界面でのトンネリングに基づく界面トンネルモデルで、2つ目がバルク内部でのトンネリングに基づいた分極モデルである。いずれのモデルが適用できるのか検討した。 界面トンネルモデルによる負性抵抗特性は、電極から注入されたホール(電子)が電極表面上の絶縁層を電界によって変動する色素分子のHOMO(LUMO)準位へのトンネリングによって生じる。そこで、色素をドープした素子を模擬した素子ITO/絶縁層/有機層/Mg/Agを作製し、絶縁層と有機層の構成材料の種類、厚さを変え、ピーク電流の出現の仕方を調べた。絶縁層にはPPX(ポリパラキシリレン)あるいはPVK(ポリビニルカルバゾール)を、有機層にはTPD(トリフェニルジアミン誘導体)あるいはAlq_3(アルミーキノリノール錯体)を用いた。何れの組み合わせでも電流一電圧特性に負性抵抗を生じ、負性抵抗の発現に電極界面の絶縁層の寄与が示唆された。 分極モデルによれば、負性抵抗特性は分子間距離に依存することになる。そこで、分子間距離を変えるために色素の分散濃度依存性を調べた。色素分散濃度をマトリクスのPVKに対して0.1wt%から50wt%にまで変えても、電流ピークの出現電圧が変化しないことがわかった。また、色素分散層の厚みを可変しても電流ピークが出現する電界に変化はなかった。 以上の結果より界面トンネルモデルが負性抵抗の発現機構であることが示唆された。 次に、色素の分散制御法の確立を目指してPVKにドープしたAlq_3の分散状態並びにPS(ポリスチレン)中のTPDの分散状態を電子分光型電子顕微鏡で観察した。その結果、色素分子を構成する元素の分布から色素の分散状態を観察・制御できる見通しが立った。また、通電中のジユール熱や太陽光に含まれるUV光によってフェルミ準位や価電子帯の状態密度さらに、固体構造が影響されることが分かった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 川本昴: "高分子負性抵抗素子の負性抵抗発現機構に関する研究-電子分光によるPVK薄膜中の色素分子の分布状態観察"平成11年度電気関係学会北陸支部連合大会. 217 (1999)
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[Publications] 川本昴: "分子分散ポリマー型負性抵抗素子薄膜における低分子材料の分散性のEFTEM観察"日本電子顕微鏡学会 電子分光結像法研究部会平成11年度 第1回研究会・ワークショップ. 24 (1999)
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[Publications] 川本昴: "有機色素ドープ型負性抵抗素子"平成11年度北陸地区学生による研究発表会. E-11 (2000)
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[Publications] 川本昴: "PVKのUV光劣化に伴う電子状態の変化"平成12年度電気学会全国大会. 683 (2000)