2001 Fiscal Year Annual Research Report
線形計画法を用いた非線形システムの解析手法の開発とLSI設計への応用
Project/Area Number |
11650395
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山村 清隆 中央大学, 理工学部, 教授 (30182603)
|
Keywords | 非線形システム / 数値解析 / 非線形回路 / 全解探索 / LSI設計 / 回路シミュレーション / 線形計画法 / 多相平衡 |
Research Abstract |
LSI設計における大きなボトルネックとして世界中の設計者を悩ませていた「非収束問題」に対し,ホモトピー法を用いた新しいアルゴリズムを開発し,その大域的収束性を証明した.さらに産業界との共同研究により,バイポーラアナログ回路としては最大級の15,000素子クラスのLSIを世界で初めて収束の保証付きで解くことに成功し,LSI設計期間の短縮や民生機器の高度化・低価格化に貢献した. なお,このアルゴリズムはIEEE(米国電気電子学会)のNG-SPICEプロジェクトでも採用され,現在,IEEEの公式ページでこの方法を用いた回路シミュレータを無料でダウンロードできる状態となっている.それにより世界中の設計者が収束率100%の回路シミュレータを利用できるようになり,数十年もの間多くの設計者を悩ませた「非収束問題」は国内外で理論面・実用面の両方から完全に解決された.なおその成果はアメリカのウィリー百科事典や日本シミュレーション学会誌の巻頭言でも大きく取り上げられている. また,LSI設計における重要な未解決問題として知られている「非線形回路のすべての解を求めるアルゴリズムの開発」に対し,双対単体法を用いた新しいアルゴリズムを開発し,線形領域数10^<300>の超大規模問題の全解探索を実用時間内で行うことに成功した.またこのアルゴリズムをすべての特性曲線を求めるアルゴリズムや変動解析の新しいアルゴリズムへと拡張した. また高分子化学の研究者との共同研究により,難解なことで有名な高分子溶液の多相平衡の計算問題に関する研究を進めた.その結果,昨年度発見したリエントラント3相平衡という現象を利用することにより,世界で初めて4相平衡の計算に成功し,多分散高分子溶液から分子量の小さな高分子のみを抽出(分別)することの可能性を開いた.
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Kiyotaka Yamamura: "Research topics and results on nonlinear theory and its applications in Japan"IEICE Trans.Fundamentals. E84-A・1. (2001)
-
[Publications] 山村清隆: "集合値写像により記述される区分的台形回路のすべての解を求めるアルゴリズム"電子情報通信学会論文誌(A). J84-A・6. 798-808 (2001)
-
[Publications] 山村清隆: "ホモトピー法による高分子溶液の4相平衡の計算"電子情報通信学会論文誌(A). J84-A・7. 978-982 (2001)
-
[Publications] Kiyotaka Yamamura: "Improvement of the contraction-type LP test algorithm for finding all solutions of piecewise-linear resistive circuits"Int.J.Circuit Theory and Applications. 29・4. 403-411 (2001)
-
[Publications] Kiyotaka Yamamura: "Finding all solutions of nonlinear equations using inverses of approximate Jacobian matrices"IEICE Trans.Fundamentals. E84-A・11. 2950-2952 (2001)
-
[Publications] Yasuaki Inoue: "A practical approach for the fixed-point homotopy method using a solutiontracing circuit"IEICE Trans.Fundamentals. E85-A・1. 222-233 (2002)
-
[Publications] Kiyotaka Yamamura: "Finding all solutions of systems of nonlinear equations using the dual simplex method"BIT. 42・1. 214-230 (2002)
-
[Publications] 電気学会編: "電気工学ハンドブック(分担)"オーム社. 2290 (2001)