2000 Fiscal Year Annual Research Report
曖昧な心理認知状況下における生体情報の評価とその応用
Project/Area Number |
11650410
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
辻本 浩章 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (90172014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 征士 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90029463)
村治 雅文 大阪市立大学, 工学部, 助手 (40275243)
建部 渉 大阪市立大学, 工学部, 教授 (10047110)
|
Keywords | 曖昧さ / 認知 / 脳波 / 脳活動 / 生体信号 |
Research Abstract |
近年、曖昧さの科学が注目されている。人の顔を認識するといった事は人には苦もなく行える。しかし計算機による人の顔を認識は容易ではない。人は曖昧さを感覚的な何らかの基準を基にし、曖昧さの程度を判断している。計算機に曖昧さを理解させるとなると、曖昧さとは何か、またその程度を決める必要がある。その一つの手がかりは脳波である。曖昧な状況下での脳活動を知ることができるならば、逆にその脳の活動状況より認知の曖昧さを定量化する手段を得られると考えられる。すなわち、曖昧さと脳活動との関係を理解することにより、曖昧度を客観的に判断することができると考えられる。この曖昧さの定量化は人とコンピューターとの相互理解の第一歩である。本研究は曖昧な情報をもつ視覚情報が与えられた時の脳波応答より、曖昧さに対する人の認知状況を捉えることを目的とした。具体的には、A,B,Cなどの文字をある程度の大きさを持つ黒い正方形のマス目で覆い隠す、又は黒の背景から黒のマス目を取り除くことにより文字を浮かび上がらせることにより、情報量(曖昧さ)が順次変化する画面を被験者に提示し、被験者の認知状況と脳波の変化を測定した。FFTにより、θ、δ、α,β波それぞれのパワーを比較した結果、電極位置C3でのδ波の変化が顕著であった。曖昧な状況下での脳活動状況とそれが解消された状況下での脳活動に何らかの変化があることが分かり、人の認知状況を反映した生体信号を捉えることができることが分かった。時間-周波数解析に適したウェーブレット解析法を用いることにより、曖昧さの認知状況の時間変化をある程度とらえることが出来、同時に高い識別確度得ることが出来た。人間の認知に対応した情報の曖昧さをどう表現すべきか、またそれをどう数値化するかという基本的根本的な課題が残った。曖昧さとは何かという問題を残すこととなった。
|