2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650445
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒木 光彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (60026226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50240825)
古谷 栄光 京都大学, 工学研究科, 講師 (40219118)
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Keywords | 静脈麻酔 / 麻酔制御 / プロポフォール / BIS / モデル予測制御 |
Research Abstract |
近年,静脈麻酔薬が認可され,その使用が開始されている.静脈麻酔は,従来の吸入麻酔に比べて副作用の少なさと速応性において優れている.本研究では,静脈麻酔薬の利点を最大限に活かすために麻酔の効果をフィードバックする自動制御システムを開発することを目的として,(a)適切な麻酔深度指標の検討,(b)静脈麻酔薬に対する麻酔深度変化のモデル化,(c)推定した麻酔深度に基づく静脈麻酔制御システムの作成を行った.具体的には,静脈麻酔薬としてプロポフォールを用い,(a)に関しては,従来の麻酔深度指標である循環動態,脳波に基づくMF,95%SEF,BISなどの指標について調査するとともに,新たな脳波に基づく麻酔深度指標の開発を目的としてウェーブレットを用いた解析を試みた.(b)に関しては,手術時の麻酔薬投与量とBISのデータから,麻酔薬投与量,血中濃度,作用部位濃度とBISの関係を表すモデルを作成した.(c)に関しては,モデル予測制御を用いた麻酔深度制御システムを作成し,シミュレーションによって制御性能を確認した.その結果,次のようなことがわかった. ●従来の麻酔深度指標の中では,BISが最も適切な麻酔深度指標であると考えられる.しかし,そのBISであっても常に適切な指標ではないので,麻酔深度指標の開発を試みたが新たな指標を提案するまでには至らなかった.今後BISと他の解析結果を組み合わせることにより,より正確な指標を作成する必要がある. ●麻酔薬投与量とBISの関係を表すモデルは,直列むだ時間を持つ4次の伝達関数と非線形関数の直列結合モデルによって表せる.個体差が大きいと考えられる麻酔薬作用部位濃度とBISの関係を表す非線形関数とむだ時間は,提案した同定法で麻酔導入時のデータから各人毎に十分な精度で同定可能である. ●開発した麻酔深度制御システムによって,実際の手術時と同様の雑音下でも十分な麻酔深度制御が行える.
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