2000 Fiscal Year Annual Research Report
IQCを用いた新しい適応制御系設計法と変動通信遅れ系への応用に関する研究
Project/Area Number |
11650453
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大森 浩充 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (90203942)
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Keywords | 適応制御系 / 遅れ時間系 / ロバスト制御系 / 積分2次制約解析 |
Research Abstract |
研究の最終年度の研究成果は下記のようにまとめられる. (1)通信遅れ系に対する新しい適応制御系の設計論を示すために,まず,変動むだ時間が存在するシステムに対処する手法として,そのむだ時間をオンラインで同定する手法を確立した.すなわち,適応オブザーバをむだ時間系へ拡張し,凸最適化問題に帰着させた調整則を提案して,むだ時間,集中定数システムの未知パラメータ,および状態変数を,同時にオンラインで推定することに成功した.そこではIQC理論から派生した新しいリアプノフ関数を用いることで安定性の証明をしている. (2)(1)では,通信システムの同定問題としての構成法しか得られておらず,制御系への展開が大きな課題のひとつであった.そこで,むだ時間の存在を考慮するが変動しないと仮定した場合の制御方式の開発を行った.すなわち,未知外乱が輸送遅れ系内に混入するようなアフィン線形むだ時間系に対して,大域的レギュレーションを達成する方式を提案した.そこでは,むだ時間が変動しないことを有効に利用した内部モデル原理を用いている点,および,受動化のために並列補償器の設計法確立している点に特徴がある. (3)(2)では,制御系の構成法を確立しているが,安定論が従来の受動定理によるものであるため,制御対象に対して保守的な仮定が必要であった.そこで,IQC制約を満たすモデル化誤差の存在を仮定したスーパーバイザ制御器の設計法に着手し,複数のコントローラをオンラインで切り替えるロバスト切り替え則を開発し,その有効性をState Flowシミュレーションにより確認することができた. 本件研究に関する以上の成果について,6件の論文発表を行いその成果を公表した.これにより,IQC理論を用いた適応むだ時間制御系の開発において,当初の目的を果たすことができた.
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[Publications] 杉本充: "未知むだ時間線形系に対する連続時間適応観測器の設計法"第39回計測自動制御学会学術講演会. CD-ROM. 205A-3 (2000)
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[Publications] H.Miyamoto: "A New Design Method of Plug-in Adaptive Controller via Root Locus Technique"Proc.of the 39th IEEE Conference on Decision and Control. CD-ROM. (2000)
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[Publications] Michiru Sugimoto: "Continuous-time Adaptive Observer for a Linear System with Unknown Time Delay"Proc.of the 39th IEEE Conference on Decision and Control. CD-ROM. (2000)
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[Publications] 藤澤傑謙: "外乱を考慮した受動性に基づく非線形むだ時間制御系の設計法"平成13年度電気学会全国大会. Vol.3. 958 (2001)
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[Publications] 中島俊彦: "ロバスト性を考慮したスーパーバイザ制御器の設計法"平成13年度電気学会全国大会. Vol.3. 961 (2001)
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[Publications] 池田優: "隠れマルコフモデルを用いたスペクトル拡散システムにおける狭帯域干渉の抑圧"平成13年度電子情報通信学会総合大会. A-5-16 (2001)