2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650478
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川島 一彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20272677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堺 淳一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 日本学術振興会特別研究員
庄司 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60282836)
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Keywords | 耐震設計 / 地震防災対策 / 橋梁 / 橋脚 / 免震設計 / 免震支承 / 高減衰ゴム / エネルギー吸収 |
Research Abstract |
平成12年度には、大きなコンクリートの損傷を生じることなく、ドリフトで4%までの繰り返し水平変位に耐えることができるRC橋脚の開発を目標として、RC橋脚の塑性ヒンジ区間に存在するコンクリートの変わりに天然ゴム及び高減衰ゴムを用いた場合の変形性能と耐力を8体の模型に対するくり返し載荷実験をもとに、実験、解析の両面から検討した。着目したパラメーターは、上述したゴムの種類の他、ゴム層の厚さ、ゴム層の上下に主鉄筋の座屈を拘束するための鋼板を設置することの効果、ゴム層が圧縮力だけではなく引張力も分担できるように、上下の鋼板とゴム層を加硫接着することの効果、ゴム層のせん断変形を拘束するために水平方向のストッパーを設けることの効果である。検討の結果、1)ゴム層だけを設置するのではなく、鋼板を設置して主鉄筋の座屈を防止すること、2)ゴム層と鋼板を加硫接着し、ゴム層が圧縮力だけではなく引張力を分担できるようにすること、3)ストッパーを設けてゴム層の水平変位を拘束することが、それぞれRC橋脚の変形性能を増大させる上では有効であることが明らかとなった。これらを組み合わせることにより、開発目標とした4%のドリフトに相当するくり返し載荷を受けてもコンクリートには大きな損傷が生じることなくRC橋脚は変形に対応できることを明らかにした。 上記の実験結果に対してファイバー要素解析を用いることにより、橋脚の変形並びに耐力をよく解析できることを明らかにした。解析モデル化に際しては、平成11年度に開発したアンボンドを有する主鉄筋のモデル化をうまく取り入れることができた。 以上をまとめると、橋脚基部の塑性ヒンジ領域に鋼板と加硫接着したゴム層を取りれることにより、4%ドリフトのくり返し載荷に対して損傷が小さく、地震後の補修をあまり必要としない免震装置ビルトイン型RC橋脚を開発することができた。また、ファイバー要素解析法を拡張して本橋脚を解析する手法も開発した。これにより、地震後の損傷が小さい免震橋脚の実用化に大きく貢献することができる。なお、今後に残る研究課題としては、ゴム層は、圧縮ひずみで80%に達する大きなくり返し荷重を受けるため、塑性変形に対する抵抗性が高く、橋脚の耐力低下につながらないゴムの開発が必要とされる。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 細入圭介,川島一彦,庄司学,堺淳一: "アンボンド区間を有する鉄筋コンクリート橋脚の耐震性"第4回地震時保有耐力法に基づく橋梁の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集,土木学会. 4. 447-454 (2000)
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[Publications] 川島一彦,永井政伸: "免震橋の荷重低減係数に及ぼすじん性率の設定法の影響"土木学会論文集. (2001)
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[Publications] 堺淳一,川島一彦,庄司学: "横拘束されたコンクリートの除荷および再載荷過程における応力度〜ひずみ関係の定式化"土木学会論文集. 654/I-52. 297-316 (2000)
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[Publications] 堺淳一,川島一彦,宇根寛,米田慶太: "コンクリートの横拘束効果に及ぼす帯鉄筋の冷間加工ひずみの影響"土木学会論文集. 661/I-53. 179-194 (2000)
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[Publications] 堺淳一,川島一彦,宇根寛,米田慶太: "帯鉄筋で横拘束したコンクリートの応力度〜ひずみ関係に及ぼす帯鉄筋間隔の影響"構造工学論文集,土木学会. 46A. 757-766 (2000)
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[Publications] J.Sakai and K.Kawashima: "An Unloading and Reloading Stress-Strain Model for Concrete Confined by Reinforcements"12th World Conference on Earthquake Engineering,Auckland,New Zealand. 12(CD-ROM)(Paper No.1431). (2000)
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[Publications] J.Sakai and K.Kawashima: "Effect of Varying Axial Loads on Seismic Performance of Reinforced Concrete Bridge Piers"Proc.3rd Regional Symposium on Infrastructure Development in Civil Engineering,Tokyo Institute of Technology,Tokyo,Japan. 3. 135-140 (2000)
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[Publications] 堺淳一,川島一彦,永井政伸,細入圭介: "コンクリートの応力度〜ひずみ関係に及ぼす中間帯鉄筋の影響"第4回地震時保有耐力法に基づく橋梁の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、土木学会. 4. 221-224 (2000)
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[Publications] 堺淳一,川島一彦: "引張力を含む軸力変動を受ける鉄筋コンクリート橋脚の正負交番載荷実験"土木学会年次学術講演会概要集第I部. (CD-ROM)(Paper No.B209). (2000)
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[Publications] 堺淳一,川島一彦: "引張力を含む軸力変動がRC橋脚の変形性能に及ぼす影響"TIT/EERG00-2. (2000)