Research Abstract |
平成12年度は,研究計画・方法に基づき,集成材等を使用した近代木橋の架設実績のデータ収集と要因分析,近代木車道橋の3橋に対する実橋実験の実施,実験と解析に基づく近代木車道橋の動的パフォーマンスの実態把握,および走行車両による近代木橋の3次元動的応答解析の定式化を検討した。その結果,下記に示すように,近代木橋に対する貴重な知見と成果が得られた。 1.我が国における約700橋の近代木橋に関して,架設年,歩道橋・車道橋,構造形式,支間長,設計条件などのデータを各自冶体に依頼して再度収集して要因分析を行い,構造剛性や性能を検討した。 2.平成12年7月に群馬県の「おおさる橋」(中路式2ヒンジアーチ橋),平成12年12月に石川県の「柴垣の橋」(トラス歩道橋)の近代木橋の静的・動的な実橋実験を実施した。さらに,平成12年3月に実施した「金峰2000年橋」の実験データも含めた3橋のデータ分析を行うと共に,3次元構造解析を行い,実験と解析の両面から静的・動的特性,構造剛性,設計係数の検証から,近代木橋の設計法,構造特性,構造剛性評価、静的安全性、振動特性等に貴重な成果が得られた。 3.4径間連続プレストレス木床版橋(木のかけはし),中路式アーチ橋(神の森大橋),上路式アーチ橋(杉の木橋,金峰2000年橋)を対象に,走行車両による3次元動的応答解析を実施し,動的応答特性を評価すると共に,木橋に対するより合理的な設計衝撃係数に検討を加えた。 4.動的荷重による大断面集成材の動的影響評価は,世界的にまったく研究されていない。そこで,大断面集成材の疲労挙動と強度の基本的な性状を把握するため、3本の供試体を用いて疲労試験を行った。現在,その疲労試験のデータを基に、集成材の疲労性状,疲労限界,強度などに検討を加えている。
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