2000 Fiscal Year Annual Research Report
土・水連成挙動としての地すへり機構と大変形すべり面の力学特性に関する実験的研究
Project/Area Number |
11650502
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
大塚 悟 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (40194203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 正信 高松工業高等専門学校, 助教授 (10110131)
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Keywords | 地すべり / せん断強度 / 三軸試験 / 間隙水圧 / 粘性土 |
Research Abstract |
地すべり斜面のせん断強度特性を調べるために間隙水圧載荷試験を行った。斜面内の土要素を模擬するために,供試体にはせん断応力(軸差応力)を載荷した。供試体の変形の観察から,間隙水圧には変形の増大する2つの閾値(降伏点及び破壊点)の存在することを明らかにした。破壊点に至ると軸差応力を一定に保つことが出来ず,供試体は急速に変形して破壊する。一連の間隙水圧載荷試験から,降伏点はせん断抵抗角によって表される限界状態線上に位置することが分かった。破壊点に至ると供試体の一様性は既に喪失しており,吸水膨張に伴うせん断抵抗力の低下によって塑性変形が進展する進行性破壊が生じていることが明らかとなった。この現象は水の吸排水と共に進展することから,変形は極めて長期間にわたって進展する。このことが地すべりの緩速破壊の原因と考えられる。構成式を用いた数値シミュレーションを行なうと,水圧載荷による軸ひずみの発生や有効応力変化を比較的良く表現することが出来た。これによって,水圧載荷に対する降伏点及び破壊点を構成式によって予測出来る。水圧の繰り返し履歴試験を行うと,当初は過圧密であった粘性土がせん断による吸水によって次第に正規圧密化する。この時に粘性土が発揮する水圧載荷に対する破壊点を調べると間隙比・平均応力空間において破壊包絡線を描く。この破壊包絡線は数値シミュレーションによって予測できるが,実験的にも検証を行った。定量的には細部が合致しないが,定性的にはシミュレーションは合理的な解を与えている。破壊包絡線は再すべり型地すべりにおける粘性土の状態変化を表しており,すべりによって粘性土がどのような状態に至り,次の水圧載荷に対してどのような強度を発揮するのかを明らかにする点で工学的意義が大きいと言える。地すべりによるせん断応力の変化や大変形による粘性土のせん断抵抗角の変化についても,間隙水圧試験における軸差応力を変えたり,リングせん断試験機を用いるなどの検討を行った。
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[Publications] 大塚悟: "Pore Water Pressure Loading Tests of A Clay"Proc.of International Symposium on Slope Stability Engineering.. 731-734 (1999)
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[Publications] 大塚悟: "Slope stability analysis taking into account pre-existed slip lines"Proc.of 10th Int.Conf.on the International Association for Computer Methods and Advances in Geomechanics.. 2. 1601-1604 (2001)
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[Publications] 大塚悟: "間隙水圧載荷試験による粘性土のせん断破壊機構"地すべり. (掲載決定). (2001)
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[Publications] 大塚悟: "Consideration on landslide mechanism based on pore water pressure loading test"Proc.of 15th International Conference on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering. (掲載決定). (2001)