1999 Fiscal Year Annual Research Report
山地河川における中規模河床波の発生条件とその機能に関する研究
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11650519
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 和義 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70001328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竜澤 宏昌 水資源開発公団, 試験研究所, 主任研究員
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Keywords | 山地河川 / 河床形態 / 線形不安定解析 / 砂礫堆 / 分級波 / 急勾配水路実験 |
Research Abstract |
山地河川の河床形態研究は、ステップ・プールなど小規模波に関するものがほとんどであり、一方、中規模河床波(交互砂州)の研究は沖積河川に関するものが全てであった。本研究は、両研究の空白域に位置する山地河川の中規模河床波に焦点をあて、実験と解析を並行して進めることによりその性質を明らかにするものである。本年度は、まず、山地河川で広く認められるタルボット分布型混合砂礫を有する急勾配砂礫床水路に対して、流れ-粒径別流砂量系の基礎式を確立し線形不安定解析を試みた。その結果、以下のようなきわめて興味深い理論成果を得た。 (1)このシステムにおいては、波長-振幅成長率に関して有意な2つの解が存在し、適切な水理条件下でそれぞれ異なる中規模河床波が現れる。 (2)2つの中規模波のうち、波長の短い方の波は従来の沖積河川における交互砂州と同様な性質を有しており、交互の起伏を成長させる河床不安定波である。 (3)波長の長い方の波は、砂礫の分級にもとづく不安定波であり、この波と河床不安定波の振幅成長率は水理量の違いによって互いに大小関係を逆転させる。このため、水理量次第でどちらか一方の波が現れる。 つづいて、理論的に導いた2種類の河床波形成水理条件の下で、合計12ケースの検証実験を実施し、以下の確認を得た。 (4)河床不安定波が卓越する条件の下では、交互の河床起伏(砂礫堆)が成長する。ただし、3個の起伏が統合して理論波長の3倍の波長をもつ波が現れた。 (5)分級不安定波が卓越する条件下では、平坦な河床の上に、縦断および横断方向に交互にいれかわる粗礫のフラクションが現れた。この形態は本研究によって初めて見いだされたものであり、「縦横断交互分級波」と名付けた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 長谷川和義、藤田豊彦、林日出喜 他: "山地河川に見られる中規模・小規模共存河床形態の実験的検証"水工学論文集. 43巻. 749-754 (1999)
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[Publications] 竜澤宏昌、林日出喜、森高信 他: "広水理条件下における小規模河床波(礫列・礫段)の形成と形状特性"水工学論文集. 43巻. 731-736 (1999)
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[Publications] Tatsuzawa, H., H.Hayashi and K.Hasegawa: "Role of Heterogeneous Property of Bed Materials in the Formation of Step-Pool Systems in Mountain Streams"Journal of Hydroscience and Hydraulic Engineering. Vol.17,No.1. 37-45 (1999)
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[Publications] Fujita T., H.Tatsuzawa and K.Hasegawa: "Experimental Reproduction and Analysis of Medium-Scale Bedforms in Mountain Rivers"I.A.H.R.Symposium on River,Coastal and Estuarine Morphodynamics. Vol.1. 273-282 (1999)
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[Publications] 長谷川和義、藤田豊彦、目黒嗣樹: "河床不安定及び分級不安定をともなう急勾配混合砂礫河床の形態"水工学論文集. 44巻. (2000)
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[Publications] 藤田豊彦、長谷川和義、目黒嗣樹: "急勾配混合砂礫河床における中規模河床形態の領域区分"土木学会北海道支部論文報告集. 56号(B). 292-297 (2000)