2000 Fiscal Year Annual Research Report
分布型流出モデルによる実時間洪水予測手法の構成に関する研究
Project/Area Number |
11650526
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
椎葉 充晴 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 賢治 京都大学, 防災研究所, 助手 (30283625)
立川 康人 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40227088)
堀 智晴 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20190225)
市川 温 京都大学, 工学研究科, 助手 (30293963)
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Keywords | 分布型流出モデル / 実時間洪水予測 / カルマニフイルター / GIS / 貯水池操作 / 気象-水文結合モデル |
Research Abstract |
近年、レーダー雨量計に見られるように、水文量の一部については、その空間的な分布が時々刻々入手でき、また、流域内の標高の分布や河道網の位置などの地理情報に関しても詳細に得られるようになってきている。このように、流域内の雨水の流動を物理的基礎に基づいて追跡するような分布型のモデルを使う条件が整ってきている。本研究では、河川流域の分布型流出モデルに対してフィルタリング・予測理論を適用するためのアルゴリズムを開発し、分布型の実時間流出予測手法を開発することを目的として研究を行なった。その成果をまとめると以下のようである。 1.一般に、斜面系からの流出を分布型モデルで計算しようとすると計算量が非常に多くなり、計算に多大な時間を要してしまうため、実時間で流量を予測するうえでは大きな支障となる。そこで本研究では、分布型のモデルを基礎としながらも、流域斜面系からの流出を高速に計算することが可能なモデルを開発した。 2.河川流量の予測には精度の高い降雨予測が必要となる。降雨予測の手法として、本研究では、気象-水文結合モデルを利用することを念頭に置いているが、気象-水文結合モデルの精度を高めるためには、気象現象と水文現象の境界面である表土層における土壌水分量を正しく評価することが必要不可欠である。このような観点から、本研究では、地表面温度情報とカルマンフィルター理論を用いて表土層の土壌水分量を予測・補正する手法を開発した。 3.実時間洪水予測を行なう際には、洪水制御施設からの放流量も予測する必要がある。これらの関係を考慮しつつ、洪水時の貯水池操作を効果的に支援するためのシステムを開発した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 市川温,小掠俊博,立川康人,椎葉充晴,宝賢: "数値地形情報を用いた山腹斜面系流出モデルの集中化手法に関する研究"京都大学防災研究所年報. 第43巻B-2. 201-215 (2000)
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[Publications] 岡明天,堀智晴,上坂薫,小尻利治,椎葉充晴: "記号推論とニューラルネットワークによる洪水時電力ダム操作支援"水工学論文集. 第45巻. (2001)
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[Publications] 田中賢治,中村忠則,椎葉充晴,池淵周一: "地表面温度情報とKalman filterを用いた土壌水分データ同化"水工学論文集. 第45巻. (2001)
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[Publications] 藤田暁,大東秀光,上坂薫,椎葉充晴,立川康人,市川温: "分布型流出モデルに基づくダム流入量実時間予測モデルについて"水工学論文集. 第45巻. (2001)