1999 Fiscal Year Annual Research Report
流動条件の管理による植物プランクトンの増殖抑制に関する研究
Project/Area Number |
11650561
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河原 長美 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (90093228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 芳朗 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (50152541)
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Keywords | 流動 / 植物プランクトン / 増殖抑制 / 富栄養化 / 水質浄化 |
Research Abstract |
富栄養化現象において、水利用に最も重大な影響を与えるのは植物プランクトンの増殖である。水域における藻類の増殖に関する研究においては、植物プランクトンの集積に関する検討を除けば、流動が考慮される事はほとんどなく、栄養塩、水温、光等を中心に検討されてきている。本研究では、藻類増殖に流動が関与するとの立場から、流動の藻類増殖抑制効果を検討し、この結果を水質浄化に応用することを目的としている。 本年度は、初年度であり実験装置の整備を進めつつ、以下の検討を行った。 従来の旭川ダム貯水池とその下流域における現地観測結果を整理し、河川における流速が10cm/sの付近を境界として、クロロフィル濃度に極端な違いが認められ、植物プランクトンが高濃度に増加する、もしくは高濃度で維持されるのは、流速が10cm/s以下の場合であることが判明した。室内実験においては、流速を変化させることができる円形水槽を用いて、流動の有無が藻類増殖と藻類種に及ぼす影響を検討した。静止した水槽で増殖が早く、流速を与えた場合に増殖が抑制されることが判明した。また、昼間だけ流動を発生させた場合と終日流動を発生させた場合の藻類増殖の違いは小さく、流動による藻類増殖制御を考える場合には、昼間の流動が重要であることも判明した。しかしながら、この増殖抑制のメカニズムは、流動の有無による藻類種の変化や、流速に伴い発生する鉛直混合による藻類が利用できる日射量の制限、もしくは、せん断力が微生物の共存関係に影響することなどが考えられるが、現在の段階では十分に明らかではない。なお、室内実験の結果をモデル式により解析を行った。
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