2000 Fiscal Year Annual Research Report
梁曲げ降伏先行型鉄筋コンクリート造建築物の耐震信頼性に関する研究
Project/Area Number |
11650579
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
長田 正至 横浜国立大学, 工学部, 教授 (40282959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田才 晃 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (40155057)
前田 匡樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30262413)
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Keywords | 鉄筋コンクリート建築物 / 耐震性能 / 地震被害 / 梁降伏型崩壊形 / 梁の軸方向変形 / 耐力のばらつき / 信頼性指標 |
Research Abstract |
本研究では、梁曲げ降伏型鉄筋コンクリート造建築物に対して想定される破壊モードと実被害との相違が発生した原因を解明するとともに、想定した崩壊形を確実に実現するための設計法に役立つ資料を提供することを目的に以下の2点について検討を行った。 (1)梁・柱部材強度の統計的不確定性を定量的に評価し、骨組全体の崩壊形の発生確率に及ぼす影響について信頼性理論を用いて検討した。柱梁耐力比を変化させたRC造平面骨組の地震時崩壊形の発生確率を、梁、柱部材の耐力を確率変数としたモンテカルロ法により求め、日本建築学会の「鉄筋コンクリート造建物の靭性保証型耐震設計指針(案)・同解説」(以下。靭性保証指針)とのキャリブレーションを行った。その結果、骨組の崩壊形の発生確率には、柱梁耐力比や骨組の不静定次数(層数、スパン数)が影響を及ぼすこと、崩壊形の発生確率には地震力の動的な影響が大きいものの、靭性保証指針での柱梁耐力比を用いると概ね信頼性指標β=2程度で層崩壊が防止できることなどが明らかとなった。 (2)梁部材の軸伸び変形を考慮することにより、柱に生じる付加せん断力について、実験結果に基づいて、梁部材に軸力と曲げの相関を考慮できるMSバネを取り入れた骨組の解析モデルの弾塑性地震応答解析を行い検討した。靭性保証指針に基づいて梁降伏型の全体降伏機構となるように試設計された、RC造3層純ラーメン骨組建物について静的漸増載荷解析を行い、梁の軸伸び変形に伴い梁に生じる圧縮軸力が骨組の崩壊形式、柱のせん断力に与える影響についてのパラメタリックスタディを行った。その結果を用いて、梁降伏型の降伏機構を実現するために、非ヒンジ領域の設計用応力の割増係数を定式した。また、求めた設計用応力の割増係数を用いて、非ヒンジ部の耐力を割増した建物の地震応答解析を行い、想定した降伏機構が実現されることを確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 江原礼子,前田匡樹: "部材耐力の不確定性を考慮したRC骨組の再塑性地震応答解析"日本コンクリート工学協会 コンクリート工学年次論文集. 第22巻第3号. 43-48 (2000)
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[Publications] 木村睦子,前田匡樹: "梁の軸伸び変形が柱のせん断力及び降伏機構に及ぼす影響"日本コンクリート工学協会 コンクリート工学年次論文集. 第22巻第3号. 1393-1398 (2000)