2000 Fiscal Year Annual Research Report
鋼構造建物の発破解体時に発生する鋼材の衝撃破壊に関する研究
Project/Area Number |
11650586
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松尾 彰 広島大学, 工学部, 教授 (90034412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 政利 五洋建設, 技術本部・研究員
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Keywords | 成形爆薬 / 発破解体 / モンロー効果 / ペントライト / 高速度カメラ / 衝撃破壊 / ライナー材 / H形鋼 |
Research Abstract |
本研究は、鋼構造物の制御発破解体を実現するために、より精確な発破式の提案と、建家の倒壊方向を確実に制御するための実部材の発破実験を行うことを目的としている。 平成11年度は、SS400,SM490A,SA440B,HITEN690B,HITEN780Bという5種類の19mm厚の鋼材を用い、成形爆薬による切欠き(板厚の1/3,2/3)および完全切断実験を行った。その際、高速度カメラ(1コマ:2μsec)による高速撮影も行った。その結果、1)鋼材の材料強度と発破係数との関係を統計的に処理するとともに、鋼板の切断深さに対する爆薬量を算定する発破式を提示した。2)ペントライトを用いた成形爆薬の定常爆轟速度は、成形爆薬内部のライナー材の材質および成形爆薬の設置方向に関係無く約7000m/secとなり、鋼板の切断効果に違いがなかった。3)成形爆薬による鋼材の切断メカニズムは、モンロー効果で定説となっているメタルジェットのみで切断されているのではなく、その後に続くライナーカッターに負うところが大きいことを冶金的分析から明らかにした。 平成12年度は、実際の骨組部材(実大の1/3モデル)を想定し、中幅H形鋼の切断,切除実験を行った。ここでは、基本となる完全切断2パターン(水平切断、斜め切断)に加え、工場建家に対する倒壊方向の制御方法を想定し、それを可能にするようなヒンジを形成させるために片側フランジー枚を切断しないで残す2パターン(水平切断と斜めくの字形切断)の部分切断および部分切除の実験を行った。その結果、1)平成11年度の研究成果を基に求めた各部の切断に必要な爆薬量で、これらの各切断パターンを実現することができることを実験的に確認した。2)骨組の倒壊方向を制御するための起爆方法が実現可能であることを高速度カメラによる高速撮影結果から確認した。
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[Publications] 加藤政利: "鋼構造建物の発破解体時における鋼板の切断挙動に関する研究"鋼構造論文集. Vol.6 No.24. 31-38 (1999)
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[Publications] 加藤政利: "成形爆薬による鋼構造建物の発破解体に関する研究(第1報)"火薬学会誌. Vol.61 No.6. 281-295 (2000)
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[Publications] 加藤政利: "鋼構造建物の発破解体における柱部材の切断に関する研究(その1)"日本建築学会構造系論文集(掲載予定). No.542. (2001)