2000 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者グループホームのケアシステムと空間構成に関する環境行動的研究
Project/Area Number |
11650623
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橘 弘志 千葉大学, 工学部, 助手 (70277797)
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Keywords | 痴呆性高齢者 / グループホーム / ケアシステム / 空間構成 / ユニット化 / 環境移行 / 適応プロセス |
Research Abstract |
グループホームは、5〜10人程度の小規模なグループの共同生活の場であるともに、そこではより専門的かつ個別的なケアが求められる場である。この形態は、今後の高齢者ケアのあり方を考えていく上でハード・ソフト両面において多くの可能性を包含していると考えられ、このような痴呆性高齢者のためのグループホームや、グループホーム的な小規模単位のケアを目指してユニット化を実践している特別養護老人ホームを対象として調査・研究を行い、施設における痴呆性高齢者の生活構成を捉えるとともに、ケアシステムや空間構成などの施設環境との関わり方を明らかにすることを目的とする。 本年度は、グループホームのケアシステムと比較する意味で、ユニット化を実践している特別養護老人ホームを対象に入居者の生活調査およびケアシステムの調査を行い、ユニット化した施設の運営の実態とそれが入居者の生活に及ぼす影響について分析を行った。小規模処遇を目指した空間構成をもった3施設の比較を行った結果、入居者にとっての領域ごとの空間の質には大きな差が見られた。これらの施設ではケア方針が異なっており、それが空間の制度的環境に大きな影響を与えており、その結果入居者の生活に-とくに痴呆度の高い入居者に-大きく影響していた。小規模処遇の本来の目的は個別処遇の実現にあり、単に空間のみを分節するのではケア側の負担が増すことになり、痴呆度の高い入居者は共用空間で一斉処遇が行われかねない。ユニットごとにスタッフが一人一人の入居者の性格や生活スタイル、生活歴などを把握した上で、施設のスケジュールにとらわれない個別の対応が可能となってはじめて小規模ユニットが有効に活用されると思われる。
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