2000 Fiscal Year Annual Research Report
創発的交流に向けての高齢者福祉施設と保育園の複合化に関する研究
Project/Area Number |
11650633
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横山 俊祐 熊本大学, 工学部, 助手 (50182712)
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Keywords | 創発的交流 / 高齢者福祉施設 / 保育園 / 複合施設 / 相互交流 / 複合タイプ |
Research Abstract |
高齢者施設と保育施設相互の空間的な位置関係のタイプ[一体型・コモン型・隣接型・分棟型・積層型]と交流特性や交流の質的・量的差異との関係を明らかにすることを目的に、通所型高齢者施設と保育園の複合8事例(関東・中部・九州)を中心に個別訪問により、交流場面の記録採集や運営実態把握から、交流の特性や有効性・意味を定性的・定量的に解析した。 1.相互交流の特性 (1)相互交流は、契機や様態により、[自主型(偶発・意識)、誘導型(自由・企画)]にタイプ化でき、また[直接型・間接型]が見られる。(2)[自主型]では、個人や小集団同士の交流が中心で、活動内容は多様。概ね子供からの働きかけが多い。(3)[誘導型(企画型)]では、クラス単位や高齢者全体など集団の規模が大きく、[同(自由型)]では少人数である。前者は、保育やデイサービスのプログラム化された活動を共同で行う場面で見られ、後者は自主型に近い交流内容を示す。(4)両者が直接的、間接的に出会う機会があれば、その殆どは交流に発展する。 2.空間特性が交流タイプに与える影響 (1)両者が空間的に連続しない分棟型や積層型では[誘導型]のみ、一体型・隣接型・コモン型では[自主型]も多い。(2)交流頻度は空間タイプと運営方式に規定され、連続した空間タイプで職員間の連携が密な施設で高い。(3)[直接型]交流の場は高齢者施設が大半を占め、保育施設は交流の場にならない。(4)相互交流を活発化する上では、両者が相互利用できる共用空間が不可欠であり、内部空間に加え、園庭も重要である。 3.相互交流が保育・デイサービス活動に与える意義 (1)交流はルーティンワーク化したデイサービスの活動に刺激を与え、活動を和ませ活発にする。(2)高齢者の存在は幼児の活動を一層積極化する。(3)高齢者は、保母とは異なった方法で幼児を指導、刺激し、指導者が多様化する。(4)高齢者施設を活用することで、幼稚園とは異なった雰囲気やしつらえの空間を体験できる。
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