2001 Fiscal Year Annual Research Report
創発的交流に向けての高齢者福祉施設と保育園の複合化に関する研究
Project/Area Number |
11650633
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横山 俊祐 熊本大学, 工学部, 助手 (50182712)
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Keywords | 創発的交流 / 高齢者福祉施設 / 保育園 / 複合 / 特別養護老人ホーム / 空間連携 |
Research Abstract |
「入所型」の高齢者施設と保育園との複合施設における、複合空間の構成・子供と高齢者の交流実態・運営方法などに関して、デイサービスなどの「通所型」施設との複合化と比較しつつ、その特性を明らかにし、「入所型」施設の課題と可能性を考察した。分析は、平成11年度に実施した全国アンケート調査と、「入所型」の4施設への直接訪問による交流の実態記録採集・運営方法に関する聴取によって得られたデータに基づいている。 主な分析方法と特徴的な結果は、以下の通りである。 1.相互交流の特質 (1)幼児と高齢者が自由に交流する「自由型」が25%に留まり、「通所型」の80%に比して極端に少ない。(2)スタッフの誘導による「企画型」は、どの施設でも行われているが、「通所型」では「日課行事」が多いのに対して、頻度が低く、フォーマリティの高い「月例行事」や「年行事」に偏る傾向がある。(3)高齢者が一日中生活する「入所型」施設では、幼児との交流が高齢者に生活の変化や社会参加の機会を与え、有効であるにもかかわらず、交流が抑制されていることは大きな課題である。 2.複合化の経緯 (1)「入所型」の施設タイプは、特別養護老人ホーム(特養)を含むものが8割強を占める。(2)複合化は、当初の保育園経営から高齢者福祉に展開し、最も経営が安定する特養を設置することによる。(3)特養の入所者は介護度が高く、幼児との交流に大きな負担感を伴うことが交流の阻害要因の一つである。(4)交流が、通所型の場合には保育園スタッフの負担を増大させるのに対し、入所型では高齢者施設スタッフの負担を増大させることも影響している。 3.両施設の位置関係と空間的な特性 (1)高齢者・保育園の位置関係は「別棟型」が6割と最も多く、「積層型」や「隣接積層型」が4割を占める。(2)通所型に比較して、両者が平面的に接する複合タイプの少なさが特徴。(3)同じ位置関係でも、入所型の場合には両者間での視線や音の相互往来が少ない。(4)こうした空間特性が「企画型」交流への偏りや交流の抑制の要因である。
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[Publications] 横山俊祐, 末田芳輝, 永田大輔: "相互交流における交流タイプの特性と評価"2001年度大会学術講演梗概集 E-1 建築計画I. 109-110 (2001)
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[Publications] 横山俊祐, 末田芳輝, 永田大輔: "相互交流における複合タイプの影響とその評価"2001年度大会学術講演梗概集 E-1 建築計画I. 111-112 (2001)